<坂口正大元調教師のG1解説 トップ眼>
<フェブラリーS>◇23日=東京◇G1◇ダート1600メートル◇4歳上◇出走16頭
すごい時代になりました。未明に、日本の若武者・坂井瑠星騎手が遠く離れたサウジアラビアでG1を勝ったかと思えば、国内ではR・キング騎手が女性騎手として初めてJRA・G1を制しました。競馬はグローバルです。
コスタノヴァの1つの勝因はキング騎手の「判断」でした。スタートは少し出負けしましたが、迷わず手綱を押して好位を取りに動きました。テン乗りですから、掛かる怖さもあったはずです。抑えられる自信、位置を取らなければ勝てないという戦略。結果的にペースは平均やや遅めでしたので、好位にいなければ勝利はなかったと思います。
加えて、コスタノヴァが鞍上の意に沿う走りをできたことも大きいです。道中では掛からず、直線で外に出てもGOサインを待ち、加速となれば一気に。G1を勝つ馬の資質が備わっていました。もちろん、これで東京ダート6戦6勝という相性もありました。
私の最近の楽しみは、キング騎手のフォームを見ることです。小柄で、見た目には馬上にちょこんと置かれたような感じですが、体幹がまったくブレず、いざ追い出すと非常に力強い。行きたがる馬を抑える力もありますし、ステッキワークも速い。世界にはまだまだたくさんの名手がいることを改めて実感しています。今後、コスタノヴァはどんな路線を選択するのか。東京以外の大レースでどんな走りをするのか。それも楽しみにします。
2着サンライズジパング、3着ミッキーファイトはフォーエバーヤングと同じ4歳世代です。ジパングは不器用な印象でしたが、幸騎手が6枠12番からうまく内に導き、直線の最内からの伸びは素晴らしかったです。やはりコーナーが大きく、直線の長いコースが合います。音無師は最後のG1勝利に届かず残念でしたが、見事な仕上げでした。
ミッキーファイトは序盤に少し掛かった分と、外枠で人気を背負い、外々を回った分だけの負けでしょう。2頭ともまだこれから伸びる素材です。