FIAのスポーツ担当副会長を務めるロバート・リードとイギリス代表のデビッド・リチャーズは、FIA会長のモハメド・ベン・スレイエムが議長を務める世界モータースポーツ評議会(WMSC)の会合から追放された。
リード副会長とリチャーズ代表が出入り禁止となった理由は、FIA会議のプロトコル厳格化の一環として設けられる秘密保持契約(NDA)への署名を拒否したことに関係していると見られている。
ベン・スレイエム会長はここ数ヵ月、多くの議論を巻き起こしており、FIAのトップとして君臨する自身に対するイギリスメディアの偏見が蔓延っているとの主張を展開してきた。
またベン・スレイエム会長は、ドライバーたちが不適切な言葉を使用することにも言及。FIAの運営方法が不透明だと訴えるドライバーたちに対して、「彼らには関係がない」と返答し反感を買った。そしてFIAの統治システムについても一連の改定案を作成しており、集権化が危惧されている。
モータースポーツUKの会長でもあるリチャーズ代表は昨年、BBCの取材に応じ、「FIAがスポーツに相応しい最高水準のコーポレートガバナンスを備えていないことで、世界中の主要組織がFIAとの協力を拒否するのを懸念している」と語っていた。
ベン・スレイエム会長は2025年末のFIA会長選挙の再選を目指しており、先週にはF1が持続可能燃料の活用を通じたV10エンジン再導入を検討するべきだと発言し、関係者やファンの関心を集めたばかりだ。
今回の重役ふたりのNDA署名拒否による追放も、FIA運営体制の不透明さを暗示していると言える。
「全ての組織で日常的に行なわれているように、FIAは全ての関係者間の機密関係を確保し、個人情報を保護し、規則上の利益を守るため、NDAを含む手続きを実施している」とFIAの広報担当は説明した。
「機密情報の不正な開示は、FIAの使命を完全に果たす能力を損ない、モータースポーツへの参加者を増やし、アクセス性を高め、イノベーションを促進するという共通の目的において、加盟クラブを支援するための収益を生み出す能力に悪影響を及ぼす」
「守秘義務を守るために我々が採った措置は、WMSCメンバーの圧倒的多数に支持されている」
NDAは、FIAの会合に出席した者が、その中で話し合われた内容の詳細を漏らすことを防ぐモノだ。WMSCの会合に先立ち、NDAに署名することを望まない者が追放され、法的な書簡が交わされたことが報告されている。
今回の会合の中で、F1モナコGPではレース中に2回のピットストップが義務付けられることが発表された。