奈良クラブは12日、中田一三監督との契約解除と、小田切道治氏の新監督就任を発表した。
奈良クラブでは6日に行われたトレーニング中に中田監督による不適切な行為が確認され、クラブ内で調査をすすめることが明らかになり、同日中にトップチームのヘッドコーチを務めるダリオ・ロドリゲス・マンチャ氏が代わりに8日の2025明治安田J3リーグ第15節の高知ユナイテッドSCで指揮を執ることが発表されていた。
そんななか、奈良クラブはトレーニング中の不適切行為のため指揮から離れていた中田監督とこの件について協議を行った結果、本人及びクラブ双方合意の下、当事者間の契約を解除したことを明らかにした。なお、発生した事象と調査結果については以下のように公表している。
「2025年6月6日(金)ナラディーアでのトレーニング中、チーム内での指導に関するやり取りの中で、中田一三監督と選手との間に言葉の行き違いが生じ、選手が具体的な改善点の説明を強い口調で求めたところ双方の意見が強くぶつかる場面が発生。周囲の選手およびスタッフの仲介により、場は一度収まるが、その後再び監督と選手が接触する中で、監督の頭部が選手の身体に当たる行為を確認。(選手に負傷はありません)。この状況を受けクラブは即日Jリーグに報告し公表」
「その後、クラブ内にて選手・スタッフ全員への個別ヒアリングを実施し、過去にも時に強い言葉や表現により監督・選手・スタッフ間ですれ違いが生じた事例があったことを確認。これらはすべて、当事者間の話し合いにより解決を図ってきた。当クラブとしては今回の事象を非常に重く受け止めている中、6月9日(月)、中田監督が選手・スタッフへ今回の不適切行為について謝罪を行い、また本人から契約解除の申し入れがあり双方合意の下、契約解除に至りました」
後任として招へいされた現在46歳の小田切氏は長年カターレ富山のユースでコーチや監督を歴任後、トップチームコーチやヘッドコーチを経て、2022年から富山の監督を務め、先月27日に退任となっていた。なお、監督のライセンス要件については確認済みであり契約締結済みであるものの、登録の承認は6月13日予定で、登録された場合は6月14日の2025明治安田J3リーグ第16節ガイナーレ鳥取戦よりベンチ入りすることになるようだ。
契約解除となった中田監督、濵田満代表、監督に就任した小田切氏のコメントは以下の通り。
■中田一三監督
「このたび、私の行動によりクラブ関係者の皆様、選手・スタッフ、そして日頃から支えてくださっているサポーター・パートナーの皆様に多大なるご心配とご迷惑をおかけしたことを、心より深くお詫び申し上げます」
「今回の事象は、いかなる理由があろうとも決して許されるものではなく、監督として、また社会人としての自覚と責任を著しく欠いた行動であったと、重く受け止めております」
「私は今、自身の未熟さと真摯に向き合い、深い反省の中におります。感情のコントロール、伝え方や関わり方の未熟さは、これまでも周囲から指摘を受けてきた課題でありながら、改善が十分でなかったことが、今回の結果を招いたと痛感しています」
「どれだけ後悔しても、過ぎた行動を取り戻すことはできません。ただただ、関係するすべての皆様に心から謝罪をお伝えしたく、この場を借りて申し上げます。今後、指導者として、また一人の人間として、自らを律し、同じ過ちを二度と起こさぬよう、自身の根本改善に徹底して取り組むことを、ここに誓います。このたびは、本当に申し訳ございませんでした」
■濵田満代表(中田一三監督解任について)
「この度は、日頃から奈良クラブを応援をしてくださっているファン・サポーター及びパートナー企業をはじめとする関係者の皆様に多大なるご迷惑、ご心配をおかけする事態となりましたことを、深くお詫び申し上げます。この度、弊クラブ中田一三監督と双方合意による契約解除を行いました。 今回起こった件は、クラブとして看過できることではなく非常に重く受け止めていた中、監督と協議する中で、辞任の申し出がありました。今回起こったことは非常に残念であり、許されることではありません。しかし、これまでの日々の中で監督がクラブのために捧げた熱量、チームをよくしていきたいという信念には、本当に感謝しております」
■小田切道治氏
「初めまして。このたび奈良クラブの監督に就任致しました、小田切道治です。このような機会を与えて頂いた、濵田社長はじめ、奈良クラブの関係者の皆様には感謝の気持ちで一杯です。これまでの経験を活かしサッカーに対して、ド誠実にド真剣に向き合い、選手・スタッフ・ファン・スポンサーの皆様と一丸となり、目の前の試合を全力で闘います! 熱いご声援、どうぞよろしくお願い致します」
■濵田満代表(小田切道治氏就任について)
「この度、奈良クラブでは、新監督の就任を決定いたしました。まず、クラブとして難しい状況の中、監督を引き受けてくださりありがとうございます。小田切さんが指揮をとるカターレ富山さんとは対戦相手として2023年シーズンから4回対戦することがあり、非常に素晴らしいチームを作られている印象をもっていました。現在、奈良クラブは自動昇格ラインからは離されていますが、プレーオフ圏内は手の届くところにあり、J2昇格は当然あきらめておりません。残り23試合、クラブ一丸となって戦っていきますので、応援よろしくお願いいたします」