コロラド大学のスター選手トラビス・ハンターは、NFLでも攻守両方でプレーすることを望んでいる。もしどちらか一方に限定されるなら、2024年のハイズマントロフィーを獲得したハンターは、フットボールから身を引く可能性もあると語っている。
ハンターは最近『CBS Sports(CBSスポーツ)』に対し、1つのポジションでしかプレーできないのなら「もうフットボールはやらない」とコメント。
「ずっと両方でやってきたし、フットボールフィールドに立つのが大好きなんだ。どちらでも圧倒的なプレーができると信じているし、それを心から楽しんでいる」
この発言は、攻守両方で爆発力を発揮できるハンターを指名候補として考えているチームにとって強烈なメッセージとなる。問題は、この発言にどれほど真実味があるかに関わらず、どちらか一方での起用を想定していたチームが、これを機に指名を再考するかどうかだ。ただし、ハンターは両方をフルタイムでプレーしたいと主張しているわけではなく、ワイドレシーバー(WR)またはコーナーバック(CB)を主軸に、もう一方を限定的にこなす形でも構わないと見られている。
2024年シーズン、ハンターはオフェンスで713スナップ、ディフェンスで748スナップに出場している。CBとWRを兼ねるハンターは、NFLではスナップ間に平均約35秒のインターバルがあることや、自身が担当するポジションの接触機会が比較的少ないことを理由に、攻守両方での活躍が可能だと考えている。
「自分には強い自信がある。決めたことには全力で取り組み、必ず成し遂げられると信じている」とハンターは話す。
この姿勢を受け、全体3位指名権を持つニューヨーク・ジャイアンツのジェネラルマネジャー(GM)ジョー・ショーエンは、現地16日(水)に行われた会見でハンターの発言についてコメントを求められた。
「トラビスは特別な存在だ」とショーエンGMは切り出し、こう続けている。
「見ていて楽しい選手だよ。ボールスキルやルートを走る能力、そして逆サイドでコーナーバックとしてプレーできる能力も兼ね備えている。こうした選手は滅多にいない。普通はレシーバーとして通用しない選手がディフェンシブバック(DB)に回されるものだが、彼は両方できる。好青年だし、フィールドに出さない理由が見つからない。両方でプレーしたいというモチベーションもあるし、17試合制という長いシーズンを考えれば心配もあるが、彼のようなユニークなアスリートなら対応できると思っている」
ショーエンGMは「攻守両方で起用することにためらいはない」ともつけ加えた。
とはいえ、ハンターがすぐに両方のポジションをマスターするのは難しいかもしれない。ポジションごとのミーティングに両方出席しなければならない可能性もある。コーナーバックとワイドレシーバーのミーティングが重なった場合、どちらを優先するべきか? 両方に時間を割くことが本人とロースター全体にとってプラスとなるのか?
このような疑問は、ハンターが非常に稀有な才能の持ち主であるからこそ浮上するものだ。4月24日(木)から始まるドラフトを前に、各メディアに出演しているハンターは『NBC Sports(NBCスポーツ)』のクリス・シムズに対し、「多くのチームが自分の起用法を迷っている」と語った。
「自分をどう扱えばいいのかわからないチームがたくさんある」とハンターは言う。
「彼らは大学レベルでの自分を見てきた。大学でもここまでできるとは誰も思っていなかったけど、実際に長期間にわたって高いレベルでやり遂げてきたから、驚いているんだと思う。だから今、多くのチームが自分の扱いを決めかねている。チームに合流した初日に、自分がどれだけのことをこなせるか、どれだけ吸収できるか、どれだけプレーできるかを見てもらえるはずだ」
ハンターはトップ5以内での指名が確実視されており、上位指名権を持つチーム、あるいはトレードアップを検討するチームが、この二刀流の起用法を真剣に考えることになる。あと8日で、ハンターという異才の扱い方を問われるチームが明らかになる。