レッドブルのチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーは、RB21の問題は風洞とサーキットのデータに相関性がないことに起因していると明かし、「ふたつの異なる時計を見ているような気分だ」と語った。
マックス・フェルスタッペンがドライバーズタイトル4連覇を果たし、今季は日本GPで優勝しているものの、レッドブルの支配力は昨シーズンを通して弱まり、2025年シーズンが始まってもそれは変わっていない。
先週末のバーレーンGPで不本意な結果に終わったことを受け、レッドブルの上層部は前進するために緊急の話し合いを行なった。
ホーナー代表は、レッドブルが昨年と「似たような」技術的な問題に苦しんでいることを認めると同時に、風洞と実走行のデータが一致していないことが、チームが把握すべき課題として指摘している。
レッドブルは現在、F1で最も古い風洞を使用している。70年以上も前の風洞を改良しながら使い続けてきたが、今は新風洞の建設を進めている真っ最中だ。ホーナー代表は、当初の予定より建設が前倒しで進んでいると明かしたものの、稼働開始の予定は2026年。マシン開発に活かせるようになるのは、2027年のニューマシンからだろう。
「最終的にはセットアップによってそれを少し隠すことができるし、鈴鹿ではそれを達成することができたけど、今回のレース(バーレーン)では、明らかに我々が抱えている落とし穴が露呈したと思う」
そうホーナー代表は語った。
「問題がどこにあるのかは理解していると思う。解決策を導入するには、明らかにもう少し時間がかかる」
「問題は、我々が(開発)ツールの中で見ているものと、サーキットで目にしているものとの間に相関関係がないことだ。それがなぜなのか、真相を究明する必要があると思う」
「ここ数年、素晴らしいマシンを生み出してきた強力なテクニカル・チームがあるから、彼らがこの問題の真相を解明してくれると確信している」
「しかしそれは文字通り、コース上で見ているものとツールが一致していないということだ。その時点で、ふたつの異なる時計で時間を測っているようなものなんだ」
ホーナー代表は、すでに行なわれた4レースから得られたデータから、解決策を見つけることができると期待している。
パフォーマンスの低下を引き起こしているのは同じ問題なのかと尋ねられ、彼はこう答えた。
「似ている。主に風洞が、サーキットで我々がやっていることを再現していない方向に我々を向かわせている。そうなると、我々のツールが示すモノと実走行データとの間でごちゃ混ぜになったものができてしまう。実走行データを蓄積している現在、解決策の発見を推進するのは明らかにそのデータだ」
「我々が問題が何であるかを理解し、解決策を実行に移そうとしていることは明らかだと思う。対処が必要なのは中速コーナーへの進入時であり、彼(フェルスタッペン)にコーナー進入でスピードを発揮する能力とグリップ、自信を与えることだ」
「現行レギュレーションの最終年だということも問題だ。得られる恩恵は少ない。そして私は現在の風洞の欠点が見えてきたと思う」
ホーナー代表は、あと18ヵ月は今の風洞を使う必要があると語り、そんな中でも迅速な対応が必要だと強調した。
「2027年に向けて新しい風洞が稼動する予定だが、現在のツールはあと1年半ほどは使うことになる」
「新しい風洞の建設は現在のところ予定より前倒しされているが、2027年の稼働を目指している」
「24レースで争われるチャンピオンシップで、我々はドライバーズ選手権で8ポイント差をつけられている。迅速に前進を果たす必要があると理解しているし、ポイントを取ることが重要だった……重要なのは、シーズン終盤に向けてどのようにそれを積み上げていけるかだ」