2024年シーズンのF1開幕戦バーレーンGPで、メルセデスのジョージ・ラッセルとルイス・ハミルトンは、優勝したレッドブルのマックス・フェルスタッペンから45秒以上の後れを取った。それから13ヶ月後の2025年バーレーンGPで、ラッセルは最速マクラーレン勢の間に割って入る2位表彰台を掴み、チームの進歩を感じさせた。
レッドブルがマシンのバランスとグリップの問題に悩まされ、フェラーリもレースを通してライバル並みのペースを維持することに苦しむ中、メルセデスはマクラーレンに最も接近。また、ラッセルはシーズン開幕4戦のうち、コース特性の異なる3戦で表彰台を獲得しており、2024年マシンでは達成できなかった一貫性を手にした。
バーレーンGPを前に、ラッセルはバーレーンの暑さと荒れた路面がメルセデスにとっての試金石になると語っていたが、決勝レースでのパフォーマンスはその一歩を裏付けるモノだった。
メルセデスのトト・ウルフ代表に対し、チームがバーレーンでの“実力テスト”をクリアできたと思うかとsports-news.jpが尋ねると、こう答えた。
「バーレーンは気温が高く、(路面が)非常にザラザラしているので、我々にとって非常に難しいサーキットのひとつになると予想していた」
「予選で我々は2番手と4番手。表彰台を狙えるクルマがあったが、これは予想以上だ。レースでは勝って初めて成功と言えるが、このような状況でははるかに良い結果だったと言える」
しかしメルセデスは、依然としてカスタマーチームであるマクラーレンを追いかけるという状況。ラッセルが電気系統の不具合と戦っていたという要素はあるが、レースを制したマクラーレンのオスカー・ピアストリには15秒差をつけられた。
「昨年のマクラーレン(ランド・ノリス6位、ピアストリ8位)を見れば、いかに早く流れを変えることができるかが分かるだろう」とウルフ代表は語った。
「おそらく今回は、コンマ数秒足らなかった。最終スティントでミディアムタイヤを履いていたら、どうだったかは分からない」
「マクラーレンのようにマシンを機能させることが全てだ。それこそ優れたエンジニアリングだ。彼らのシャシーにはパフォーマンスがあるし、他のどのチームよりもタイヤを労ることができる。そして素晴らしいエンジンも持っている……」
メルセデスはラッセルのマシンに発生したブレーキ・バイ・ワイヤの不具合と、レース終盤に発生した電気系統のトラブルの原因をまだ特定できていない。
しかしウルフ代表は、それらの困難に対処しつつ2位フィニッシュを果たしたラッセルの力走について「信じられない」と語った。
「突然ブレーキ・バイ・ワイヤの不具合が出て、セッティングを見つけるのに時間がかかった」とウルフ代表は言う。
「そしてノリスを後方に従え、システムをマネジメントしつつのドライビングは、正直言って信じられないようなモノだった」
「あれだけ長い間、ソフトタイヤを使い続けたことも素晴らしかった。とても良いスキルだ。我々が期待していたモノ全てがあったわけではないし、ダッシュボードが消えることも恐れていた」
「明らかに、彼はシフトライトの問題を抱えていたし、それを頭の片隅において走っていた。しかしそれで集中が切れることはなかった」