現地14日(月)、コーナーバック(CB)パトリック・ピーターソンがその華やかなキャリアが始まった地で、正式に現役生活に幕を下ろした。
アリゾナに戻ったピーターソンは、自身を2011年にルイジアナ州立大学(LSU)から全体5位で指名したカーディナルスの選手として引退を迎えた。近年の一部選手とは異なり、ピーターソンに現役復帰の余地はない。本人の意思は固く、今後はフィールド上ではなくカメラの前でその経験を生かしたいと考えている。
「カメラの前で自分の考えや視点、意見を伝えていきたい。そして、ファンや視聴者に、このゲームについて彼らが知らないようなことを届けたいんだ」と、ピーターソンは祝福ムードに包まれた月曜日の記者会見で語った。
「今でもこのゲームを心から愛しているから、そういう道に進みたいと思っている。まだプレーできるけど、もうプレーしたくない。ここではっきりさせておきたい――まだプレーはできる。でも、プレーしたくない。今は家族と過ごし、仲間とゴルフに行き、旅行を楽しむ時間を満喫している」
ピーターソンが最後にNFLのフィールドに立ったのは2023年、ピッツバーグ・スティーラーズの一員としてだった。ただし、13年にわたるプロキャリアの大半を過ごしたのはカーディナルスであり、そこで彼は卓越した運動能力とボールへの嗅覚、ビッグプレーを生み出す勝負勘を武器に、リーグ屈指のロックダウンコーナーとしてその地位を確立した。カーディナルス在籍中の10年間で、ピーターソンは8度のプロボウル選出、3度のオールプロのファーストチーム選出を果たし、さらに2010年代のプロフットボール殿堂オールディケイドチームにも名を連ねている。
2010年代のエリートディフェンシブバック(DB)を語る上で、ピーターソンの名前が挙がらなかったことはない。カーディナルスでは通算28インターセプト、91パスディフェンス、499タックルを記録。2011年のデビュー戦から2018年までレギュラーシーズンでの連続先発を途切れることなく続け、2019年に初めて6試合を欠場するまで、その記録は継続された。レギュラーシーズン154試合、さらにプレーオフで3試合に出場したピーターソンにとって、キャリアの締めくくりに選ぶ場所は他になかった。
「迷う余地はなかった」とピーターソンは語った。
「いろいろ言われたこともあったし、正直、理想的な別れ方ではなかった。でも、自分のレガシーはここで始まり、ここで築かれたと思っている。オーナーのマイケル・ビッドウィルと話す機会もあって、この決断に至った。繰り返しになるが、迷いはなかった。アリゾナ・カーディナルスの一員として成し遂げたこと――8年連続プロボウル、3度のオールプロ、そのうち1回はスペシャリストとしての選出、そして2010年代オールディケイドチーム――こうした実績を残せた選手はそう多くない。自分のキャリアはここにある。すべてはここから始まった。だから、ここに戻って引退するのは、ごく自然なことだった」
カーディナルスが再建期に入る中、ピーターソンはキャリア終盤にもう一度活躍できる場を求め、アリゾナを離れてミネソタ・バイキングスと2年契約を結んだ。ベテランディフェンダーとしてバイキングスのセカンダリーに加わり、レギュラーシーズン30試合に出場。インターセプト6回、パスディフェンス20回をマークした。特に2022年シーズンはピーターソンにとって復活の年となり、インターセプト6本のうち5本をこの年に記録。当時新たにヘッドコーチ(HC)に就任したケビン・オコンネルのもと、接戦をモノにして勝利を重ねたバイキングスは、13勝4敗の好成績を残している。
2023年、まだ余力があると感じていたピーターソンは、最後の移籍先としてAFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)北地区のスティーラーズに移った。そこでの経験を通じて、自身の今後の進むべき道についての手がかりを得ることになる。
ピーターソンはラストシーズンをインターセプト2回で終えたが、映像には加齢によるパフォーマンスの低下がはっきりと映し出されていた。『Pro Football Focus(プロ・フットボール・フォーカス)』によれば、スティーラーズで過ごした唯一のシーズンにおいて、ピーターソンはキャリアで2番目に低いカバレッジ評価、そして過去10年で2番目に低い総合ディフェンス評価にとどまった。それでも、ピーターソンがキャリアで成し遂げた功績が色あせることはない。ただ、2024年に契約先が見つからなかったことで、ピーターソンはついに引退の時を迎えたことを受け入れた。
ピーターソンは、自身のキャリアの終わり方に一切の不満を抱いていない。引退という決断を前向きに受け止めており、フットボールから離れた今の生活を心から楽しんでいると強調している。本人の言葉通り、今でもNFLでプレーできると信じているが、自分が納得できるレベルでプレーできないのであれば、もうフィールドに立つつもりはないという。
「もう世代交代だ」とピーターソンは話している。
「あごひげの白髪を見てくれよ。正直に言って、今のこの状態ではもう求められていない。でも、それでいい。最終的に、自分には誇れる13年のキャリアがある。何ひとつ悔いはない」
「去年契約できなかった時点で、妻ともずっとこのことについて話し合ってきた。今回の決断に悔いはないし、これまでの人生とキャリアにとても満足している。自分の決めたことに迷いはない。だから今は、キャリアの終わりに自分が本当にたどり着きたい場所、フットボールの天国に行けるだけのことをやってきたかどうかを、神の手に委ねるだけだ」
幸いなことに、ピーターソンはもう何年も前にカーディナルスで伝説を築いている。チームは彼のキャリアを称えるべく、背番号21を将来的に永久欠番とする予定だ。そしてその先には、プロフットボール殿堂入りという最高の栄誉が待っているかもしれない。