ANEST IWATA、新体制初戦でいきなり初表彰台! 今季のヨコハマタイヤがバッチリハマったか「RC Fにとって良い作用があった」

ANEST IWATA、新体制初戦でいきなり初表彰台! 今季のヨコハマタイヤがバッチリハマったか「RC Fにとって良い作用があった」

スーパーGT開幕戦で大きなサプライズを起こした、GT300クラスのANEST IWATA Racing。新体制の初戦で2位表彰台を獲得して見せたが、好調の要因を松浦佑亮監督に聞いた。

当初アルナージュとのジョイントという形でスーパーGT参戦を開始したアネスト岩田は、今季から単独の自社エントラントとしての参戦をスタートさせた。メンテナンスガレージには新たにGT300で実績豊富なゲイナーを迎え、スーパーフォーミュラの最前線で活躍する吉田則光氏をチーフエンジニアとして招聘するなど、体制を強化。ドライバーラインアップも、評価の高い若手イゴール・オオムラ・フラガのチームメイトに、経験豊富なベテラン安田裕信が加入し、バランスの取れた布陣となった。

車両は以前から使うレクサスRC F GT3とヨコハマタイヤのパッケージのままだが、ANEST IWATAは開幕戦から高いパフォーマンスを見せた。公式練習では3番手タイムを記録……ただ予選はQ1敗退で、21番グリッドに沈んでしまった。

「ハッキリとした原因は今も分かりませんが、Q1のコンディションは少しトリッキーだったと色々な方と話しています。それに(Q1担当の)安田自身1年のブランクがありますし、長くダンロップさんのタイヤで走っていたこともあり、ウォームアップ特性などのキャラクターにうまく対応しきれなかったのかなという部分もあります。だから事前のテストでは安田に(予選シミュレーションの)経験を積ませたかったのですが、公式テストはコンディションが悪く、なかなかできないままレースウィークに来てしまいました」

松浦監督はQ1敗退の要因をそう分析した。ただ、決勝レースでは的確な戦略で大幅なジャンプアップを果たすことになる。

ドンピシャの戦略

ANEST IWATA、新体制初戦でいきなり初表彰台! 今季のヨコハマタイヤがバッチリハマったか「RC Fにとって良い作用があった」

レースはウエット→ドライへと路面が変化していく展開。ANEST IWATAは路面コンディションが好転するまでフラガがステイアウトを続ける作戦をとった。46、47周あたりで半ばギャンブル的にドライタイヤに交換する車両が出る中、50周目にピットイン。ドライバー交代も行なうルーティンストップの中でドライタイヤに替えることができた。

ルーティンストップではウエット→ウエットとタイヤ交換していたライバルがたまらずドライタイヤ交換のための追加ピットストップに向かう中、ANEST IWATAは気付けば3番手まで順位を上げていた。しかもセーフティカー明けに首位争いをしていた#65号車LEON PYRAMID AMGと18号車UPGARAGE AMG GT3が接触し、UPGARAGEは後退、LEONは5秒ペナルティを受けたため、ANEST IWATAには優勝の可能性も浮上した。

結果的にはLEONの5秒差以内でチェッカーを受けることはできなかったが、チームとして初の表彰台となる2位フィニッシュ。昨年ノーポイントに終わったチームであることを考えると、大きなアップセットと言えた。

「おそらく(自分たちよりも)早めにスリックタイヤに替えたチームは、アウトラップ含めて大きくロスしていたんじゃないなと思います。逆にウエットからウエットに交換したチームは、2、3周のタイムは良かったんだけどすぐに落ちてしまい、もう1回ピットに入らなくてはならず、ロスしていました。引っ張れるだけ引っ張って入った僕らのタイミングは本当にドンピシャだったと思います」

このように、戦略判断が表彰台を手繰り寄せたと語る松浦監督。今回持ち込める4セットのドライタイヤのうち、1セットだけ低温コンディション向きのコンパウンドをレースのために残せていたことも、プラスに働いたという。

ヨコハマタイヤとのマッチングも向上か

ANEST IWATA、新体制初戦でいきなり初表彰台! 今季のヨコハマタイヤがバッチリハマったか「RC Fにとって良い作用があった」

今回は戦略が噛み合ったことでジャンプアップを果たした形だが、それを抜きにしても、今季ここまでのテスト、レースウィークでのパフォーマンスを見る限りANEST IWATAのポテンシャルは大きく上がっていると感じさせられる。これについて松浦監督は、体制強化の影響もありながらも、やはり今季持ち込まれているヨコハマタイヤがRC Fとうまくマッチングしていることが大きいと述べた。

ヨコハマはGT300クラスの28台中、半数以上の16台にタイヤを供給する大所帯。様々な車種にマッチしたタイヤを開発するのは容易ではないだろう。ヨコハマはそれぞれのチームの要望を反映してある意味オーダーメイド的にタイヤを供給しているとしているが、その中でもチームとしては(当然セットアップの問題もあるだろうが)「車両との相性が良くない」と感じることもままあるようだ。昨年はJLOCのウラカンが驚異的な速さを見せたこともあり、「今のヨコハマタイヤはFR車よりMR車に合っているのでは」と指摘する声も各所で挙がっていた。

しかしながら松浦監督によると、今季ヨコハマが供給するタイヤは、RC Fとのマッチングが良いと感じているという。

「ひとつ大きな要因を挙げるとすると、ヨコハマさんに去年から今年にかけて構造など色々と変更して用意してもらったタイヤが、僕の印象ではRC Fにとって良い作用があったのではと思います。他にメリットを感じているクルマも多いと思いますけどね」

「僕らのクルマは、そこでの伸びしろが大きいのではないかと思います」

今後は自社ファクトリーや自社メンテナンスの構想もあるなど、GT300への本気度もうかがえるANEST IWATA。今季GT300の台風の目となれるだろうか。

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