マクラーレンF1、狩る側から狩られる側へ――開幕戦を制したノリス、タイトル候補の自覚も「足をすくわれかねない」と気を引き締める

マクラーレンF1、狩る側から狩られる側へ――開幕戦を制したノリス、タイトル候補の自覚も「足をすくわれかねない」と気を引き締める

マクラーレンのランド・ノリスは謙虚な性格の持ち主だが、2025年シーズンのF1開幕戦オーストラリアGP決勝で世界チャンピオンであるレッドブルのマックス・フェルスタッペンを下し、F1ドライバーズタイトル獲得の可能性について珍しく自信満々に語った。

マクラーレンは予選でフロントロウを独占し、ノリスはポールポジションから雨絡みの荒れた展開を跳ね除けてキャリア5勝目をマーク。満点25ポイントを稼ぎ、絶好の形でタイトル挑戦をスタートした。

2024年シーズンに1998年以来のコンストラクターズタイトルを獲得したマクラーレン。今季のプレシーズンテストでも印象的なペースを見せていたものの、ノリスは控えめな期待を語っていた。

しかし開幕戦を制し、ノリスはマクラーレンがグリッドの先頭に立ったという確信を得たようだ。

「僕らはタイトル候補だし、狩られる側のチームになった」とノリスは言う。

「今回みたいにストレスがかかるレースで、しかもミスを犯しやすく、たった1秒で全てが台無しになるような状況で勝利しシーズンをスタートできたんだから申し分ない」

「今年のマシンには、やるべきことがたくさんあるというのは分かっている。F1では上手くいっていると考え始めると足を掬われるから、今のポジションに甘んじてしまうと転落していくと思う」

「やるべきことはたくさんあるけど、チームが素晴らしい仕事をしてくれたおかげで僕らはタイトル候補になれたと思う。バーレーンでスタートしていたら、優勝できていなかったと思う」

マクラーレンF1、狩る側から狩られる側へ――開幕戦を制したノリス、タイトル候補の自覚も「足をすくわれかねない」と気を引き締める

開幕戦が雨絡みのレースとなったことで、相対的なレースペースにはまだ疑問が残るが、オーストラリアGPではドライコンディションの中でノリスとチームメイトのオスカー・ピアストリは他を寄せ付けない走りを見せていた。

しかしふたりともハードタイヤに履き替えたレース後半、雨が振り始めたところでコースオフ。ノリスが首位を守りきった一方で、ピアストリはスピンを喫して大きく順位を下げてしまった。

勝利を掴んだノリスと対照的に、ピアストリは9位入賞。ノリスと共に表彰台にあがったのはフェルスタッペンとメルセデスのジョージ・ラッセルだった。

マクラーレン内の交戦規定、そしてドライバーの優先順位を決める“パパイヤルール”が大きな効力を持たない新シーズン開幕時点で、こうした差がついてしまったのはピアストリにとっては痛い結果だ。

しかし、ノリスはマクラーレンのドライバーラインアップの質の高さが、シーズンを通じて切磋琢磨する助けになると考えている。

「僕らはふたりのドライバーが互いをプッシュし合っている。それが助けになる」とノリスは言う。

「僕とオスカーが協力して互いを高め合うことで、予選では経験の少ないチームメイトを持つ他のドライバーふたりよりも0.05秒あるいは0.1秒改善することができたか? 答えはイエスだ。マシンのおかげというだけでなく、そのことも頭に入れておいてほしい」

「チームは素晴らしい仕事をしてくれた。彼らがやってくれている全てに感謝している。僕らはもっともっと良くなれると思っている」

マクラーレンのザク・ブラウンCEOは、2024年のレッドブルのようにライバルからの接近を防ぐため、チームが現在のマシンを改良し続けることを望んでいる。

この優位性をいつまで保つことができると思うか? と訊かれたブラウンCEOはSky Sports F1に対して次のように答えた。

「あと23レースは続くと良いね。我々が非常に速いレースカーを持っているのは確かだが、このスポーツでは状況がすぐに変わってしまう」

「我々は開発をしっかりと継続していく必要があるが、マクラーレンの皆はここ数年、私が言った通りの素晴らしい仕事をしてくれている」

「意思疎通や意思決定は非常にしっかりしていると思う。自分たちの判断を疑うことはないし、今回は素晴らしい実行力があった」

「チームにはプランがあった。非常にトリッキーなコンディションだったが、上手くコミュニケーションが取れていた。ドライバーたちとのコミュニケーションも素晴らしく、その通りに実行できた」

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