レッドブルのマックス・フェルスタッペンは、F1開幕戦オーストラリアGPを2位でフィニッシュした。しかしレース終盤に雨が強まった際、フェルスタッペンは他のマシンよりもピットインを遅らせることになった。
レース後にフェルスタッペンは、この決断を下した理由について説明した。
2025年のF1開幕戦オーストラリアGPは、雨が降ったり止んだりと難しいコンディションとなった。この雨に翻弄され、リタイアを余儀なくされたドライバー、戦略に失敗して好結果を逃したチーム……その一方で戦略を成功させ、望外の結果を手にしたチームもあった。まさに悲喜交々である。
その中でフェルスタッペンは、”悲”と”喜”のどちらでもない、その中間の結果を手にしたドライバーだと言える。
レース終盤の44周目に雨足が強まり、最終区間でマクラーレンの2台が揃ってコースオフ。オスカー・ピアストリはランオフエリアにハマってしまったが、ランド・ノリスはなんとかコース上に踏みとどまり、すぐさまタイヤを交換するためにピットに飛び込んだ。
この2台のすぐ後ろを走っていたフェルスタッペンは、ノリスの動きに反応せずにステイアウト。その翌周もステイアウトを選択し、46周目にようやくピットに入ってインターミディエイトタイヤ(弱い雨用のタイヤ)に履き替えた。
なぜフェルスタッペンは、ノリスよりもピットインを2周も遅らせたのか? レース後の記者会見で、次のように説明している。
「僕らはミディアムタイヤを履いていたけど、それがどうなるか分からない。セーフティカーが出動したのは残り15〜16周目くらいだったから、その判断はかなり賢明だったと思う」
そうフェルスタッペンは語った。
「僕の前で彼ら(マクラーレン勢)がコースオフするのが見えた。オスカーがコースに戻ろうとしているのを見て、僕はクリーンに走り続けようとしたんだ」
「その時、『コースに留まろう(つまりピットインしない!)』と思ったんだ。なぜなら、雨が降っているのはその3つのコーナーだけだったから。残りの部分はまだドライだった。最初のふたつのセクターは大丈夫で、最後のセクターを生き残れるかどうかというだけだった」
「雨がこれ以上強くならなければ、うまくいくだろうと思った。インターを履いた人たちに追いつかれても、雨が止んでしまえばスリックタイヤに戻さなくてはいけない。それも考慮しなければいけなかった。だから『そうだ! もう一周(ドライのまま)走ろう』と思ったんだ」
「でも残念ながら、あの周の最初のセクターはまあまあだったけど、2番目のセクターから少し雨が降り始めたんだ」
「そして、僕らはピットに入らなければいけなかった。今思えば、2周ステイアウトしたことは問題にはならなかったと思う。もしランドと一緒(44周目)にピットインしても、2位だっただろう。次の周(45周目)に入っても、2位だっただろう。そして、僕が実際にピットストップした周(46周目)でも2位だった」
「僕らは彼ら(マクラーレン)と違うことを試した。今回はうまくいかなかったかもしれないけど、ポジションを失うことはなかったから問題ないよ」
レッドブルはオーストラリアGPの初日には、大いに苦戦を強いられそうに見えた。しかし、土曜日にはフェルスタッペンのパフォーマンスが大きく上がり、最終的には2位表彰台を手にした。
この結果は、初日のことを考えれば満足であると、フェルスタッペンは言う。
「僕らの後のチームと比べれば、良い結果だと思う」
そうフェルスタッペンは言う。
「もちろん、最初のスティントではかなり遅れてしまった。タイヤがオーバーヒートしてしまったところで、我々にはチャンスはなかった」
「でも基本的には、マクラーレンが飛び出したばかりというだけだ。勝利を争うためには、まだやるべきことがたくさんある。そして、今回2位になることができて嬉しい。本来いるべき場所よりも、ひとつ良い順位なんだからね。そして、去年僕はここで1ポイントも獲得できなかったんだし」
しかしフェルスタッペンがピットインした46周目は、まさにギリギリというタイミングであった。その後は確実に雨が強まり、セクター1のペースも確実に落ちた。そこでピットインしなかったレーシングブルズやフェラーリは大きく順位を落とすことになったのだ。
そういう意味でフェルスタッペンが臨機応変にコンディションに対応できたからこそ、2位という結果を手にできたとも言える。