[3.8 J1第5節 浦和 1-0 岡山 埼玉]
FC東京からの育成型期限付き移籍でファジアーノ岡山に加入した18歳のMF佐藤龍之介が8日、J1第5節・浦和戦で新天地デビューを果たした。U-20W杯出場権を勝ち取ったAFC U20アジア杯を経て、一回りたくましくなったロサンゼルス五輪の主役候補が新たな一歩を踏み出した。
試合後、報道陣の取材に応じた佐藤は「負けた状況で入ったので結果としては悔しさしか残っていない」と敗戦に向き合いつつも、念願のJ1リーグ戦で信頼されて掴んだ出場機会に「埼スタのピッチであの大勢の観客の中でファジアーノの応援を聞いてプレーできたことは一歩進めた。嬉しく思います」と喜びを口にした。
2023年8月に16歳でFC東京とプロ契約を交わした佐藤だが、昨季までの1年半はJ1リーグ戦3試合の出場のみ。今季は高卒イヤーにして、J1初昇格を果たした岡山での武者修行を選択した。プレシーズンキャンプには開幕から参加したが、2月上旬から下旬にかけてU-20日本代表の中心選手としてAFC U20アジア杯に出場していたためチームを一時離脱。この日が新天地デビュー戦となった。
U20アジア杯ではU-20W杯出場決定戦となった準々決勝イラン戦の120分間フル出場を含め、3試合に先発出場。準決勝のオーストラリア戦はコンディション調整のため出場を見合わせるなど、タフな戦いは身体に負担も残したが、「試合に出なきゃいけないと思ったし、試合に出ることで成長できるとアジア杯で感じたので、しっかり岡山でポジション争いを勝ち抜きたい」と強い決意で帰ってきた。
この日は後半21分からの出場で、3-1-4-2のシステム変更に伴い、インサイドハーフでプレー。同28分にはペナルティエリア右の狭いスペースに果敢に潜り込み、惜しい折り返しのパスでチャンスメークするなど、才能の片鱗を見せつけた。
それでも自身のパフォーマンスに満足はなかった。チャンスを作ったシーンにも「スペースを見つけて良いドリブルができたと思っているので、あれをしっかりゴールにつなげる取り組みをしていきたい」と気を引き締めることを忘れず、「自分としてはまだまだ全然出せていない」と総括。「ミスもあったし、そういうところは改善しながら、関係性ではまだ伸び代があると思うので次の練習から改善していきたい」と力を込めた。
2028年のロサンゼルス五輪の中心を担うことが期待される立場だが、この1年に並ならぬ覚悟で挑むつもりだ。「(移籍は)今後の踏み台じゃない。しっかり岡山で、岡山のために戦うことが自分の成長につながる。先のことは考えず、岡山の勝利のために戦いたい」。そう言い切る18歳はクラブとしても個人としても“J1基準”を試される1年に向けて、「今日みたいな高いレベルの相手にはまだまだ力がないと思っているので、練習から積み上げるところ。年齢関係なく基準を示していくことが大事だと思っているのでそこは求めていきたい」と意気込んだ。