『JA全農杯2025 全国小学生選抜サッカーIN関西』が3月1〜2日の2日間に渡り、和歌山県の上富田スポーツセンターで開催された。
大会プログラムにあるように「選手一人ひとりがもっと積極的にゲームに参加できるように、8人制サッカーの全国的な普及を願って始めた」大会であり、今年で23年目を迎える。参加選手は小学5年生以下、試合時間は12分を1ピリオドとする3ピリオド制(計36分)で戦う。選手の出場は第1ピリオドに出た選手は第2ピリオドには出られないという独自ルール(第3ピリオドについては自由)で、最低16人の選手が試合に出場することになり、チーム全体の総合力や監督・コーチ陣のマネジメント力も求められる。

関西2府4県の代表各2チーム(計12チーム)が参加し、3チームが4グループに分かれて総当たり戦を実施。各グループの上位2チーム(計8チーム)による一発勝負の決勝トーナメントへと進んでいく。そして決勝戦を戦う2チームが、来たる5月3日から神奈川県で開催される全国決勝大会の出場権を獲得できる。
強さを見せた兵庫県勢
大会2日目に行われた準々決勝に勝ち上がったのは、グループ1位突破組がジンガ三木スポーツクラブ(兵庫県)、グランディールFC(和歌山県)、ディアブロッサ高田FC U-12(奈良県)、ヴィッセル神戸U-12(兵庫県)の4チーム。2位進出がF.C.Fenomeno<フェノーメノ>(大阪府)、SV ROHDIA<ロディア>(滋賀県)、SC和歌山ヴィーヴォまつえ(和歌山県)、石切東FC(大阪府)という顔ぶれだった。
午前中の準々決勝は「ジンガ三木 2-1 SV ROHDIA」「石切東FC 2-1 ディアブロッサ高田FC」「グランディールFC 1-0 F.C.Fenomeno」「ヴィッセル神戸 1-1(PK6-5) 和歌山ヴィーヴォまつえ」という結果に。そして、全国決勝大会進出がかかる準決勝では、ジンガ三木(2-1 石切東)、ヴィッセル神戸(2-0 グランディールFC)という兵庫の2チームが勝利し、全国大会の出場権を獲得した。
その準決勝(ジンガ三木vs石切東FC)では、第1ピリオドにジンガ三木が楠琉紀の先制ゴールで試合を優勢に進めたが、追いかける石切東も第2ピリオドに西田朔来のゴールで追いつく展開に。勝敗の行方は第3ピリオドに委ねられ、ジンガ三木の米田朋史が鮮やかなミドルシュートを決めて決勝に進出。もう一方の準決勝ではヴィッセル神戸が快勝したものの、準々決勝はPK戦にもつれ込む接戦となり、最後はゴールポストにも助けられるなど、どちらに転んでもおかしくない展開だった。
兵庫県大会の再戦は…
決勝のヴィッセル神戸vsジンガ三木は、兵庫県大会の再戦に。その時はヴィッセル神戸が1-0で勝利した。両チームとも全国決勝大会の出場権は得たものの、やはり目指すのは優勝。その熱い思いがピッチ上で激突する。第1ピリオド、パスをつなぎ優勢に進めるヴィッセル神戸は根津圭一郎、八十原圭偉が積極的にミドルシュートを放ったものの枠をとらえきれない。

第2ピリオドもヴィッセル神戸ペースとなり、西山陽翔がサイドから積極的に突破を仕掛けるがシュートにはつながらない。なかなかシュートを放てないジンガ三木は、相手GKが前に出ているのを見た三原英一がハーフウェイライン付近から思い切りよくロングシュートを狙うもゴールを脅かすまでには至らなかった。一方のヴィッセル神戸は和田大知が巧みな2度のワンツーでペナルティエリアに侵入してゴールを狙ったが、ジンガ三木・岩田瑠生の懸命のブロックによりゴールは阻止された。
そして最終の第3ピリオドでもゴールは生まれず、3分ハーフの延長戦に突入。PK戦での決着になるかと思われたが、延長後半1分にヴィッセル神戸が「(正面)詩季くんのパスを信じて走りこんだおかげ」と振り返った和田のシュートがネットを揺らし、これが決勝ゴールに。ヴィッセル神戸が熱戦を制して関西王者となった。
大会プログラムの裏表紙には「全ての子どもたちにプレーをする機会を与え、子どもたちが自由に判断して挑戦できるように」、「目先の勝敗に一喜一憂するのではなく、子どもたちがサッカーをもっと好きになり、楽しむこと」と記されている。それこそがこの大会の開催趣旨であり、選手全員入れ替えという独自ルールにつながる。その意味でも、関西代表となった2チームの選手たちには、全国の舞台でもプレーを思う存分楽しみ、様々な経験を積んで成長の糧としてくれることを期待したい。
試合後コメント
■坪内秀介監督(ヴィッセル神戸)
「全国大会では関西代表として恥じないように。(4年前の)ベスト8以上を目指して一個一個と言う感じです。(選手全員入れ替えルールは)エースを第2ピリオドに使ってくるチームがあったりするので、そのあたりの駆け引きとか、どう16人を使うのかのバランスがすごく面白くて難しいですね」
■根津圭一郎主将(ヴィッセル神戸)
「(決勝の延長戦は)ちょっときつかったけどみんなで最後まで走りきれた。(準々決勝の)PK戦の緊張を経験できたのは良かったし、最後まで諦めずにやれたのも良かった。(全国では)どこからでも攻めて点を決められるように頑張りたい。個人としては中央からロングシュートが得意なので百発百中決められるようになりたいです」
■高橋亮監督(ジンガ三木)
「(決勝は)知り尽くしている相手なのでこっちのサッカーも相手のやってくるサッカーもなんとなく分かっていました。県予選と同じ0-1でしたが、延長戦まで持ち越せたのでちょっと成長したとプラスに捉えます。(全国では)関西代表として恥ずかしくないサッカーをやれたら一番いいと思います」
■岩田瑠生主将(ジンガ三木)
「体力、スタミナがヴィッセルの方が上だった。(全国へは)スタミナを鍛えて、ゴールを決める力を上げていきたいです」