F1プレシーズンテストで印象的なパフォーマンスを見せたウイリアムズ。しかしドライバーのカルロス・サインツJr.は、表彰台やトップ5なども狙えるといった過度な期待は歓迎していないようだ。
過去4年間をフェラーリで過ごし、4回の優勝と19回の表彰台を獲得したサインツJr.は、ルイス・ハミルトンの電撃移籍によってフェラーリのシートを失った。トップ4チームのシートが埋まっていたこともあり、彼は昨シーズンのコンストラクターズランキングで9位に沈んだウイリアムズと複数年契約を結ぶ決断を下した。
しかし、ウイリアムズには大きな変化が起こっている。現在チームを率いるのはジェームス・ボウルズ。元メルセデスのストラテジストがチーム代表に就任して以来、ウイリアムズは以前とはまるで別のチームになった。スプレッドシートでパーツの管理をするような、以前までの時代遅れの仕事術は一掃され、他にも最高技術責任者(CTO)パット・フライが主導する新たな戦略や、タイトルパートナーであるアトラシアンのソフトウェアが導入されている。
チームの人員も過去2年間で150%にまで増加しており、内部からも成長の兆しが見えている。そしてそのポテンシャルをサインツJr.も認識している。
ボウルズ代表はシルバーストンで行なわれた新車発表の際、次のように語った。
「我々が前進するのを目の当たりにするだろうが、これは常々言っているように、焦点を当てているのは2026年、2027年、2028年だということだ。そのために必要な要素を開発している。今年は大規模なインフラの変革が進行中だ」
「我々は以前700人規模のチームだったが、現在は1050人以上になった。そして、まだ終わりではない。今後さらに多くの計画が進んでいる。これはすべて水面下で進行していることだ。私が確実にしたいのは、短期的な小さな利益のために長期的な計画を犠牲にしないことだ」
「我々はチャンピオンシップを再び制するためにここにいる。そのためにはもう少し時間が必要だが、そこに向けて投資している。だが我々の道のりを見ていてほしい。今年は面白いシーズンになるはずだ」
迎えたプレシーズンテストでサインツJr.は、2日目に1分29秒348を記録。これはテスト全体のトップタイムである上に、2024年バーレーンGPのマックス・フェルスタッペンのポールタイム(1分29秒179)と比較してもわずか0.169秒落ちというものだった。この結果により、ウイリアムズは2025年シーズンに向けて注目を集めることとなった。
では、当のサインツは今シーズンの展望についてどう考えているのだろうか? 彼はスペインのMarca紙のインタビューで、期待をし過ぎないようファンに呼びかけた。
「今年は僕が表彰台やトップ5にいるのを見ることはないと思うから、過度に期待しすぎないでほしい。ただ言っておきたいのは、僕はウイリアムズでただ時間を過ごしに来たわけではないし、グリッドの中団で何年も過ごすつもりもない」
「僕がウイリアムズに来たのは、このチームを前進させるためだし、それができると信じている。昨日(テスト)の結果が少なくとも人々にそれを示すものになっていることを願う。僕たちは前を向いて進んでいくんだ」
またサインツJr.曰く、自身はテストでレースペースの改善に注力していたという。
「昨年の中団を見れば分かるように、僕たちは決して大きく離されていたわけじゃない。一部の予選ではハースからウイリアムズまでがかなり接近していた。Q1では全員が0.5秒か0.7秒以内にいたこともあった」
「僕の貢献できる場所は主にレースペースの部分にある。なぜなら、タイヤのデグラデーションが激しくなったりすると差が大きく開いてしまい、1周あたり1秒遅れたりするからだ。そこを改善することが僕の役割だと思うし、チームのレースペース向上に貢献できると考えている」