インテルに勝つと“悲劇”? セリエAの不可解な法則…3大クラブが支払った20億の学費

インテルに勝つと“悲劇”? セリエAの不可解な法則…3大クラブが支払った20億の学費

2025年2月27日、ユヴェントスはコッパ・イタリア準々決勝で降格圏に沈むエンポリにまさかの敗北を喫した。90分間を1-1で終えた後、PK戦で3-5と敗れ、準決勝進出を逃した。興味深いのは、ユヴェントスがわずか1週間前に行われたイタリア・ダービーで首位インテルを1-0で破り、今シーズンのインテルにとって3敗目をつけたばかりだったことだ。

不思議なことに、今シーズンのインテルを破ったチーム、ミラン、フィオレンティーナ、ユヴェントスは、いずれもその後の試合でスランプに陥っている。この現象が続いたことで、“インテル・ジンクス”の話題が再び盛り上がっているのだ。過去数シーズンを振り返ると、ミランやサッスオーロといったチームも、インテルを撃破した後に成績が低迷し、さらには降格や崩壊といった悲劇を経験している。これは単なる偶然なのだろうか?

1.ミラン:ダービー勝利が引き金となった崩壊
2024年9月、アウェーでインテルと対戦したミランは、ガッビアが89分に劇的な決勝弾を決め、2-1で勝利。ダービー6連敗という悪夢を終わらせた。この勝利は、フォンセカ監督にとって唯一のハイライトだった。しかし、その後のミランはリーグ戦でフィオレンティーナ、ナポリに連敗し、チャンピオンズリーグでもレヴァークーゼンに敗れ、グループステージ敗退の危機に直面。結局、フォンセカは解任の憂き目にあった。

    2.ユヴェントス:インテル撃破の代償は“トリプルショック”
    2025年2月、ユヴェントスはインテルとのリーグ戦で1-0の勝利を収めた。決勝ゴールを決めたのはコンセイソン、アシストはムアニ。シーズン3敗目を喫したインテルにとっては手痛い敗戦だった。

      しかし、その後のユヴェントスは急失速。チャンピオンズリーグのプレーオフではPSVに3-1で逆転負けを喫し、アタランタ、ミランとともに欧州の舞台から姿を消した。そして今回のコッパ・イタリアでも、格下エンポリに屈し、タイトル獲得のチャンスを失った。

      ユヴェントスの崩壊の背景には、インテル戦での“超高強度プレス”がある。モッタ監督はインテルの中盤を封じるために徹底したプレッシングを展開。しかし、選手層の薄さから主力が疲労困憊し、過密日程も相まって連敗が続いたのだった。

      3.フィオレンティーナ:インテル戦の大勝の後に待っていた3連敗
      2月の延期試合で、フィオレンティーナはキーンの2ゴールを含む3-0の快勝でインテルを撃破。この勝利で、トップ4入りの可能性が一気に膨らんだ。

        しかし、その直後に現実が襲いかかる。再戦となったインテル戦では1-2で敗れ、さらにコモに0-2、ヴェローナに0-1とまさかの3連敗を喫し、4位ユヴェントスとの勝ち点差は7に広がってしまった。

        4.サッスオーロ:インテルに2勝しながらも降格
        2023-24シーズン、サッスオーロは唯一インテルをホーム&アウェーで破ったチームだった。ベラルディが両試合で計3ゴールを演出し、“ジャイアント・キラー”と称賛された。しかし、そのシーズン終了後、サッスオーロはまさかのセリエB降格となる。

          降格の直接的な要因は、終盤戦の戦い方だった。主将ベラルディが負傷離脱する中、クラブは「インテルに勝った」という慢心から補強を怠り、守備陣の立て直しが遅れた。特に残留争いのライバルであるレッチェ戦(0-2)での敗戦は致命的だった。

          なぜ“インテル・ジンクス”が生まれるのか?
          統計を見ると、過去3年間でインテルを撃破したチームは、その試合での平均走行距離がリーグ平均より12%多く、スプリント回数も20%増加している。例えば、ユヴェントスがインテルに勝利した試合では、チームの総走行距離は118kmに達し、今季最高値を記録した。つまり、インテルを倒すためには極限まで体力を消耗する必要があり、その代償として直後の試合で失速してしまうのだ。

          しかし、この“ジンクス”を乗り越えたチームも存在する。その代表例が2022-23シーズンのナポリだ。ナポリはインテルを破った後、スパレッティ監督が主力5人を大胆に入れ替え、リーグ戦7連勝を記録。最終的にスクデットを獲得した。

          モッタ監督も「インテル戦のような高強度プレスと、下位チーム相手のポゼッションサッカーを使い分ける必要がある」と語るように、適切なマネジメントが求められる。

          結局のところ、“インテル・ジンクス”とは、セリエAの競争環境を映し出す鏡のようなものだ。資金力の乏しいクラブはビッグクラブに全力を注ぐが、その反動で失速する。一方、インテルのような強豪は選手層の厚さを活かし、敗戦後もすぐに立て直すことができる。

          欧州カップ戦の改革が進み、クラブの負担が増す中、この現象は今後も続くのだろうか?「インテルに勝つことはゴールではない。むしろ、それこそが真の試練の始まりだ」——ミラン・スポーツ紙はそう評する。勝者が栄光を掴むのか、それとも呪いに飲み込まれるのか、その答えはピッチ上で証明される。

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