40歳のハミルトン、新天地フェラーリで溢れるモチベーション「誰かと比べないでほしいね」

40歳のハミルトン、新天地フェラーリで溢れるモチベーション「誰かと比べないでほしいね」

今季からフェラーリでのキャリアをスタートさせたルイス・ハミルトン。40歳と近年では特に高齢のドライバーということになるが、ハミルトン自身はそれに不安は抱えていないようだ。

ハミルトンは2024年のシーズン開幕前に、同年限りでメルセデスを離れ、2025年からフェラーリに加入することを発表した。ハミルトンはメルセデス在籍時に6度のワールドチャンピオンに輝いた……つまりハミルトンとメルセデスのパートナーシップは、F1の歴史上最も成功を収めたのだった。

しかしメルセデスは、ハミルトンとの契約延長を2024年の1年限り+オプションとすることに留めた。その結果、フェラーリへの移籍の道が開かれることになった。メルセデスは、ハミルトンの後任として新人のアンドレア・キミ・アントネッリを起用することになった。

「1年プラス1年の契約しか結ばなかったのには理由がある」

メルセデスのチーム代表であるトト・ウルフは、昨年11月に発売された著書でそう語った。

「我々は認知能力の鋭敏さが非常に重要なスポーツに身を置いており、誰にも寿命があると思う。だから、次の世代に目を向ける必要がある」

後にウルフ代表は、このコメントは「少し文脈から外れて解釈された」と釈明したが、当のハミルトンは、年齢のことはあまり重要に考えていないと語る。

「僕を他の誰かと比較しないで欲しいね」

タイム誌のインタビューでそう語った。

「僕はこのスポーツで初めてで、唯一の黒人ドライバーだ。他の人たちとは違う。僕は多くのことを経験してきた。僕には僕自身の旅があるんだ」

「過去や現在の他の40歳のF1ドライバーと、僕を比べることはできない。だって僕は、彼らとは全く違うからね。僕にはハングリー精神があり、妻や子供もいない。僕が集中しているのはひとつのこと、つまり勝つことなんだ。それが僕にとっての最優先事項だ」

ただ、40代のドライバーは歴史を振り返っても珍しい。しかも、直近40年を見ると、成功しているドライバーはほとんどいない。

40代のドライバーはこの40年間にわずか8人しかおらず、21世紀に入ってからは3人だ。

ポールポジションを獲得し、そしてレースにも勝ったのは、ナイジェル・マンセルただひとりのみで、彼は1994年のオーストラリアGPを41歳で制した。ミハエル・シューマッハーは、一度引退したものの後にF1に復帰し、2012年のモナコGPでは予選最速タイムを記録したものの、ペナルティによりポールポジション獲得とはならなかった。

ハミルトンは、現在のF1グリッドで最年長のドライバーではない。43歳のフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)が、依然として最年長である。しかしチームメイトのランス・ストロールは、ベンチマークとしては優れた存在ではないと見られているため、アロンソの加齢によるパフォーマンスの低下を検証するのは難しい。

バーレーンで行なわれたプレシーズンテストの際、フェラーリのチーム代表であるフレデリック・バスールは、ハミルトンのモチベーションを高く評価した。しかしそれでも、今季のハミルトンは自身の速さを証明する必要があるだろう。

2024年のハミルトンは、レースペースこそ優れていたものの、予選ではチームメイトのジョージ・ラッセルに後れをとった。30回(スプリント予選も含む)の予選のうち、ラッセルを上回ったのは6回しかなかったのだ。これは、自身のキャリアで最悪の成績である。

しかも2025年シーズンは、現行レギュレーション下で行なわれる最後のシーズンということになるため、激戦になることが予想される。ハミルトンにとって、簡単な戦いにはならないのは間違いない。

「北極星がどこにあるのか、それは正確に分かっている」

そうハミルトンは語った。

「自分がどこに行かなければいけないかは分かっている。そこに辿り着く方法も分かっている。そこは遠く、辿り着くのは大変だろう。でも僕には、全ての材料、全ての人たち、素晴らしいチームが揃っているのは分かっている。だから、どれだけそれを望んでいるのかが重要なんだ。そしてそれをどれだけ望んでいるかは、言葉では言い表せない」

ハミルトンは今年優勝できなかったとしても、また来年挑戦するだろう。

「言えるのは、引退という文字は僕の頭の中には全くないということだ、50歳までここにいるかもしれない。それは、誰にも分からないよ」

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