チューリップ賞2025[GⅡチューリップ賞(桜花賞トライアル)=2025年3月2日(日曜)阪神競馬場、芝外1600メートル(3歳牝)]
“新装阪神”1週目の日曜メインはGⅡチューリップ賞(3月2日=阪神芝外1600メートル)。GⅠ桜花賞と同じ舞台で行われる最重要トライアルレースで栗東得ダネ班が注目したのは、例年とは異なる“開催日”だ。今年から開幕週に設定されている本レース。馬場を味方につけて、3枚の桜切符をつかむ馬とは――。
シン・阪神競馬場はピッタリ!?
シン・阪神競馬場が迎える最初の重賞レース。例年よりも1週繰り上がった開幕週に行われるだけあって、今年のチューリップ賞はより一層、スピードと瞬発力が試されるトライアルレースになりそうだ。ならば、抜群の切れ味を隠し持っているノクナレア(今野)が、アッと驚く波乱の使者になっても不思議ではない。
「外でかなり(ハミを)かんでいましたし、内の馬が有利な展開になりました」
今野調教師が前走の白梅賞(4着)を振り返る。当時は逃げ馬不在の少頭数(8頭立て)。押し出されるような形でハナに立ったモンテシートが、前半3ハロン36秒7のスローペースに落とし込む。もともとコントロールの難しい面を持つノクナレア。道中は前め3番手をキープしたものの、完全な前残り決着だったことに加えて、緩やかなペースで力んでしまい力を発揮できなかった。ただ、昨年の新馬戦では前半5ハロン63秒0のスローからラスト3ハロン11秒8ー11秒5ー11秒3の加速ラップを刻んでいくと、後続を2馬身突き放す圧勝劇を披露している。オープンレベルでも通用可能な瞬発力を備えていることは間違いなく、ペースの流れやすい開幕馬場がノクナレアの好走を後押しする。
26日に行われた最終追い切りでは、ウッド単走で半マイル追いのルーティン調整。最後まで手綱を持ったまま、ラスト1ハロン11・1秒(3ハロン37・7秒)で駆け抜けた。見守ったトレーナーも「メンタル面を踏まえてプールと半マイル追いで調整しています。けさはラストを伸ばした程度ですが、しまいの脚は速いですね。全体時計は遅いですが、ゴールを過ぎた後も伸びていました。状態も変わりなくこれています」と確かな手応えを感じ取っている。
気になる戦略面に関しては、「行き過ぎると折り合い面がどうかですが、開幕週の馬場ですし、いいポジションを取りやすくなると思います。そのあたりはジョッキー(松山)に任せます。前回は返し馬からうるさい面を見せていましたし、継続騎乗なのは安心ですね」(今野師)とデビュー以来、手綱を取り続ける鞍上に全権委任の構え。もちろん、陣営が見据えているのはGⅠ桜花賞(4月13日=阪神芝外1600メートル)の舞台。1か月半後の仁川の地で“シン”桜の女王戴冠を果たすべく――。ノクナレアが桜切符をつかみ取る。