“優勝先輩”と地元・茨城県を盛り上げる。オリックスの育成ドラフト6位・乾健斗投手(霞ヶ浦高)が、登場曲に同県出身の古田島成龍投手と同じ「水戸黄門」の主題歌を使うことを考えている。「地元が水戸ですから、僕も使わせてもらおうと考えています。登場曲にはいい曲だと思います」。屈託のない笑顔で大きな目を輝かせた。
乾は水戸市内の中学から霞ヶ浦高に進み、3年夏の甲子園に背番号「11」で出場。188センチから投げ下ろす最速144キロのストレートが武器の右腕。幼少の頃に亡くなった祖父は1940年代に阪神でプレーした乾国雄内野手で、プロ通算136試合に出場し257打数44安打の打率.171、2本塁打、9打点の成績を残している。
遊んでもらった記憶がないという祖父に替わる目標が、茨城県河内町出身で取手松陽高、中央学院大、日本通運から2023年ドラフト6位でオリックスに入団し、プロ1年目に中継ぎとして「初登板から22試合連続無失点」の日本記録に並ぶ快投をみせた古田島だ。
プロ入りまで面識はなかったが、霞ヶ浦高と河内町は車で35分程度で同学年の間で「面白くて、明るく元気のある選手がオリックスにいる」と話題になり、登場曲にテレビの時代劇「水戸黄門」の主題歌で「人生、楽ありゃ、苦もあるさ」で始まる「あゝ人生に涙あり」を使っているのも知っていた。
「静かな方です」とは乾の自己分析だが、打者を抑えた時に飛び跳ねるように全身を使ったパフォーマンスも「真似をしていけたらいいと思います」と誓う。古田島は「挨拶に来てくれた時、『一緒に茨城県を盛り上げよう』と言ったんです。登場曲に水戸黄門ですか? いいんじゃないですか。大丈夫ですよ」と快諾した。
ホームゲームで登場曲を流してもらうためには、支配下選手登録されて1軍に昇格することが必須条件。派手なパフォーマンスを継承して茨城県の知名度を上げるためにも、大きく飛躍したい。
○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。