ホンダのシビック・タイプR-GT、2年目は熟成されたライバルたちを倒せるか?「方向性は見えた」「まだ探っている」と意見分かれる

ホンダのシビック・タイプR-GT、2年目は熟成されたライバルたちを倒せるか?「方向性は見えた」「まだ探っている」と意見分かれる

2025年のスーパーGT・GT500クラスは、モノコックの全車交換はあったものの基本的には開発が凍結されており、新車の登場もないなど比較的動きの少ないシーズンとなる。昨年シビック・タイプR-GTを投入したホンダ陣営としては、これを機にライバルとの差を縮めたいところだ。

「やっぱり他のメーカーさんが何年も同じ車種の外板で戦っている中、我々は(ベース車両を)変えたばかりで、なおかつ後半戦は雨で走れないことも多かったですからね」

そう語るのは、ホンダ・レーシング(HRC)でスーパーGTの責任者を務める佐伯昌浩LPL。ホンダ陣営は昨年、既に車両セットアップの方向性がある程度煮詰まっている他陣営のライバルと比べ、車両変更に最低地上高変更とダブルパンチの影響を受け、パフォーマンスの底上げや安定感の確保に苦労した感があった。

トヨタ・GRスープラが8戦6勝を記録した昨シーズンにおいて、ホンダ陣営もシビックとしての初ポールポジション、初優勝を記録するなど見せ場を作ったレースもあったが、最終的には多くの車両がランキング中位〜下位に沈んだ。唯一安定してポイントを稼ぎランキング2位に入ったSTANLEY TEAM KUNIMITSUも、担当の星学文エンジニアは「決勝は“落としていない”だけ」だとして、レースペースをはじめとするパフォーマンス自体はそれほど優れていないと述べていた。

そのためホンダ陣営としても、このオフの間にセットアップに振り幅を持たせながら様々なトライをしてきた様子。昨年からチャレンジングなセットアップの急先鋒として積極的なトライをしていたARTAの小池智彦エンジニアは、クルマづくりの方向性がある程度定まってきたことに対する手応えを語っていた。

ただこれについて100号車STANLEYの星エンジニアは「でも、もっともっとパフォーマンスを上げるために、各号車ともにまだまだ色々なことを探っている状態かなと思います」と慎重なコメント。この辺りは陣営内で見解が分かれた。

ちなみに100号車STANLEYは今季からメンテナンスがATJからHRCに変更となっている。実際には星エンジニアも所属するセルブスジャパンのスタッフがエンジニア・メカニックにも複数人おり、そこにHRCのスタッフが加わる混成チームのような様相。新体制ということで様々な引き継ぎ・擦り合わせも容易ではないだろうが、テストではレースを想定したシミュレーションを行なってオペレーションの確認なども進めていたようだ。

ホンダのシビック・タイプR-GT、2年目は熟成されたライバルたちを倒せるか?「方向性は見えた」「まだ探っている」と意見分かれる

そんなホンダ陣営に共通する目標は“打倒au TOM’S”。昨年圧倒的な強さでGT500を連覇したauスープラに、なんとしても対抗したいところだ。

佐伯LPLは、au TOM’Sの速さが脅威だとしてこう語った。

「(オフのテストで)周りを見ていても、36(au TOM’S)だけがとんでもなく速そうです」

「一発のタイムもロングランも速いので、あそこをターゲットにすべきですが、なかなか追いつけそうにもないようなタイム差が出ています」

「そこはウチの5台でしっかりポイント稼いでいき、ハンデ戦というシリーズの特性も活かしつつ、なるべく36にポイントを持っていかれないようなレースをしないといけません。そのためにも、この車両を理解して、各サーキットでしっかり使えるようにするのが一番重要ですね」

STANLEYの星エンジニアも、テストで好タイム連発のau TOM’Sについて「速いんじゃないですかね(笑)」と苦笑。とはいえ100号車としても一発のタイムは昨年よりも改善している手応えがあるようで、開幕に向けては引き続き昨年からの課題であるロングランペースの改善に取り組んでいくことになる。

そしてARTAの佐藤蓮も、昨年からのシビックの確かな進化を感じ取っている様子。打倒au TOM’Sに向けてこう意気込んだ。

「去年よりもクルマとしての手応えはかなり良いので、なんとしてもau TOM’Sの3連覇を止めたいです。ホンダ陣営として、うちがその筆頭になれればと思います」

「(au TOM’Sは)テストから走れば常に速いという状態ですが、そこに対しての自分達とのタイム差は去年よりも縮まっている印象なので、ちょっと期待ができるかなと思っています」

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