S耐優勝、SF&FEテストドライブを経て飛躍の1年――GT300フル参戦を掴んだ小山美姫『実力を上げることが次のチャンスにつながる』

S耐優勝、SF&FEテストドライブを経て飛躍の1年――GT300フル参戦を掴んだ小山美姫『実力を上げることが次のチャンスにつながる』

小山美姫にとって、国内外の様々なカテゴリーで見せ場を作った2024年はまさに飛躍のシーズンになったと言える。そんな1年を経て2025年はスーパーGT・GT300クラスにフル参戦することになった小山に、今季の意気込みを聞いた。

昨シーズン、彼女の最初のハイライトとなったのが、R’Qs MOTOR SPORTSの第4ドライバーとして参戦した夏のスーパーGT富士戦。下位グリッドからのスタートとなるも、コース上で次々とオーバーテイクする小山のAMG GT3の姿が中継映像でも映し出され、インパクトを残した。小山本人も「まさか(中継に)抜かれているとは思っていませんでした。あそこで初めて自分の存在を知ってくれた方もいると思います」と振り返る。

そして9月のスーパー耐久鈴鹿戦ではaprのRC F GT3に乗り、永井宏明、小高一斗、嵯峨宏紀と共に5時間レースを戦い切って総合優勝。女性ドライバーの総合優勝はスーパー耐久史上初、N1耐久時代まで遡っても2人目となった。このニュースが各所で報じられたこともあり、小山はこの優勝について声をかけられ祝福されることも多かったという。またランボルギーニ・スーパートロフェオ・アジアでも活躍し、ワールドファイナルにも進出した。

これらの活躍もあり、フォーミュラカーでのチャンスも得た。急転直下の参加となったフォーミュラEの女性限定テストでは、実力あるドライバーが揃う中4番手。12月にはテストで念願のスーパーフォーミュラ初走行を果たし、自身の掲げた目標タイムには届かなかったものの、海外勢と遜色ないタイムで関係者からも高く評価されていた。

S耐優勝、SF&FEテストドライブを経て飛躍の1年――GT300フル参戦を掴んだ小山美姫『実力を上げることが次のチャンスにつながる』

今季はスーパーGT・GT300クラスにaprから参戦することになった小山。念願のフル参戦シートである上に、aprの31号車LC500hは表彰台や優勝も狙えるパッケージ。小山はこの体制を得られた要因について、上で挙げた全てのカテゴリーでの走りがチャンスに繋がったのだろうと自己分析した。

「まず、スーパーGTにフル参戦できるというのが自分としては1番大きなところです。この環境を得られたことは本当に感謝です」

小山はそう語る。

「もちろん、スポット参戦させていただく中で学べる部分もたくさんありました。ただそれと同時に、知識がついてくる中で疑問が生まれたりしても、それを実際にマシンに乗って確かめられる機会が少なく、それが不安要素になるというケースがたくさんありました。今回はフル参戦できるということで、自分の中で色々な部分を確かめて穴を埋めていけるなと思っています」

小山は岡山と富士で行なわれる公式テストを前に、既にLC500h GTをドライブしているが、車両の特性については「掴むのが難しい」という。

「ハイブリッドを積んでいるということもあり、その車重の感覚、バランスの感覚は自分の経験にはないものなので、そこには少し難しさを感じます」

「そもそもブリヂストンタイヤも初めてなので、クルマの特性にタイヤの特性に、自分が理解しきれていない部分もたくさんあると思います。タイヤの開発をしているチームでもありますし、初めてこれだけの種類のタイヤを経験すると、まだ自分の中でまとまりきらないですね」

相方のオリバー・ラスムッセンがスーパーフォーミュラでのクラッシュにより岡山テストを負傷欠場するのは心配なところだが、ともあれ小山にとっては2025年シーズンに向けた戦いが岡山で本格的にスタートすることになる。具体的な目標は、まずは表彰台獲得というところか。

「チームとしては、1回は優勝してほしいというのはあるようですが、自分としてはまず全戦出られることで得られるものをしっかり正しい方向で吸収して、それを結果に結びつけていきたいですね」

「もちろん結果の世界なので、チャンピオンを獲りたいと言えるところまでいければと思っています。まずは今年全戦に出られるということが、チャンピオンという一歩先にある目標に繋がっていくと思います。正しい知識を身につけて、実績を積んで、その中で今年表彰台を狙えたらいいなと思っています」

これまで長くフォーミュラを主戦場に戦ってきた小山は当然、再びスーパーフォーミュラに乗るチャンスを得たいと考えている。トヨタ育成ドライバーの小山にとって、トヨタの育成チームが発足するなど陣営のシートが増えたことはプラスに捉えているかと問うと、次のように答えた。

「育成に関しても下からの突き上げもありますし、シートの数はあまり気にしていません。今目の前にあることを大切にしながら、出せるパフォーマンスを引き上げていきたいです。

「しっかり学んで実力を上げることが、次のチャンスにつながると思います。去年のように、なかった話がシーズン中に出てきてチャンスをもらえることもあります。当然、その反対もあると思いますし。これはレースをしている限りみんなそうだと思います。ですから、今は与えてもらったこの機会で最大限にパフォーマンスを出していきたいです」

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