MotoGPの2025年シーズン開幕戦を完全制覇したマルク・マルケス。ドゥカティで好調なスタートを切ったが、今の彼はつらい時期を経たことで、気持ちの面も穏やかになっているという。
マルケスは今では開幕戦でポールポジション、スプリント勝利、決勝レース勝利とグランプリを完全制覇したが、2020年に右腕骨折の怪我を負った後は、非常に苦しい時期を経験してきた。
マルケスは何度も手術を繰り返し、同時に所属するホンダは王座から転がり落ちて苦戦続きとなってしまった。
一時は引退も視野に入っていたマルケスだったが、2024年にドゥカティ陣営のグレシーニへ移籍して復活を果たし、今季はドゥカティファクトリーへ加入。最高のシーズンスタートを切った今、マルケスはライダーとして落ち着きが加わり、更に進化している。
第2戦アルゼンチンGPを前に行なわれたドゥカティのイベントで、マルケスは今の自分が感じていることについて語った。
「僕は、自分が”若返った”ベテランだと思っている」とマルケスは言う。
「自分の内側で火花が散っているのを感じるし、私生活でもプロフェッショナルとしてもリラックスした気分なんだ。自分に対しても、他の人に対しても借りがあるとは感じていない」
「スポーツ選手として、腕を4回、目も手術するなど僕はキャリア最大の試練を経験してきたばかりだ。他の誰にも経験して欲しくない地獄のような期間だった」
「僕はもう世界チャンピオンになっている。弟(アレックス・マルケス)と1位と2位で表彰台を分け合うことができたし、自分の情熱を楽しめているよ」
なおマルケスにとって、今週末行なわれるアルゼンチンGPは2019年以来の参戦となる。舞台となるテルマス・デ・リオ・オンドでは3勝を挙げているなど相性はいいが、そしてバレンティーノ・ロッシとの遺恨を残すことになった接触やクラッシュなど、悪い瞬間も経験しているコースだ。
マルケスは「今年は良い結果になることを願おう」と語った。
「確かにここは僕が得意としているコースのひとつだけど、先頭を走っていながらクラッシュもしているからね。良い瞬間よりも、悪い瞬間の方が覚えているものだ。そうした瞬間のことは心にも残っている。今年は良い結果になることを願おう」