<大相撲春場所>◇初日◇9日◇エディオンアリーナ大阪
元大関で西三段目21枚目の朝乃山(31=高砂)が235日ぶりに復帰し、236日ぶりの白星を挙げた。東三段目22枚目の天(あまね、26=錣山)を押し出しで下した。取組後は開口一番「緊張した」と振り返り、安堵(あんど)の表情を浮かべた。
西の花道から入場する際には館内に拍手が響いた。応援タオルを広げるファンも見られた。土俵上では熱い声援を受け、一直線に前に出る電車道。もろ差しの体勢をつくると、「あとは体を密着させながら出た」。わずか約2秒で圧勝した。「朝から足を運んでくださったお客さんに感謝」と力を込めた。
朝乃山が本場所の土俵に上がるのは、一山本に押し倒しで敗れた昨年名古屋場所の7月17日以来。その取組で左膝前十字靱帯(じんたい)断裂などの重傷を負い、長期離脱を余儀なくされた。「気持ちが折れそうになったことは何回もあった」という中で、仲間や家族の支えを励みに踏ん張った。
場所前の7日には「やはり優勝を目指したい。結果を出さないと駄目」と話した。この日は「ここまで来たら、勝ち負けにこだわらず、目の前のことに集中したい。思い切ってやれば、結果はついてくる」。新たな気持ちで、まずは七番を取り切る。
途中休場した場所も含め、昨年5月の夏場所から5場所連続で休場。三段目で相撲を取るのは謹慎明けだった22年名古屋場所以来で、そのときは西22枚目で全勝優勝だった。当時と1枚しか違わない番付から再起を期す。