「任祐、ペース上げて!」 ペナルティに不運も重なり優勝争いから転落…太田格之進、チームとの意思疎通に課題痛感

「任祐、ペース上げて!」 ペナルティに不運も重なり優勝争いから転落…太田格之進、チームとの意思疎通に課題痛感

2025年シーズンの幕開けとなったスーパーフォーミュラ鈴鹿大会。DOCOMO TEAM DANDELION RACINGの太田格之進と牧野任祐にとっては、第1戦と第2戦で互いに天国と地獄を味わう……そんな週末となった。

土曜に行なわれた第1戦では、太田が完勝。一方で牧野は、前を走っていた太田とのダブルピットストップを強いられ太田のタイヤ交換作業を待ってタイムロス、さらにはエンジンストールでさらに大幅タイムロス……散々なレースで10位に終わった。後に牧野はこのレースが、泣きそうになるほど悔しくて気落ちするものだったと話している。

しかし翌日の第2戦は、太田に落とし穴が用意されていた。牧野と共に優勝争いに絡んでいた太田だったが、岩佐歩夢(TEAM MUGEN)をシケインでオーバーテイクする際にコースをショートカットしてしまい、5秒のタイム加算ペナルティを出されてしまった。

それでもライバルに対して差を広げることで、ペナルティを受けても少しでも上の順位でフィニッシュしたい太田だったが、考え得る中で最も不運な展開が待ち受けていた。残り3周でのセーフティカー出動だ。これで各車の隊列は一気に縮まってしまい、牧野に続いて2番手でチェッカーを受けた太田は、最終的に12位まで転落した。

レース後に太田は、岩佐への果敢なオーバーテイクについて、やや言葉を選びながらも「勝ちを狙いすぎた、ということに尽きると思います」と振り返った。その後セーフティカーが出てしまったことは時の運としか言いようがない感があるが、太田はそれまでの牧野とのポジション争いに関して、チームのコミュニケーションに課題があったと感じているようだ。

15周目のオーバーランによって岩佐の前に出た太田は、岩佐に対してポジションを戻さなければいけない可能性も理解しつつ、タイムペナルティで対処されるという線もあったため、レースコントロールの判断を待ちつつプッシュを続けていた。出された裁定は5秒加算。太田は岩佐や坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)らライバル勢とのギャップを広げにかかった。

そんな中、ピットインを遅らせ首位を走っていた牧野が、タイヤ交換を終えて太田の近くでコースに復帰した。太田はコース上でオーバーテイクして首位の座を奪ったが、フレッシュタイヤの牧野のペースは良く、付かず離れずの状態だった。

この時牧野には担当の杉崎公俊エンジニアから「無理に(太田を)抜かなくても大丈夫。5秒以内にいればいいから」と無線が飛んでいた。それを踏まえて太田担当の吉田則光エンジニアも「任祐は無理に抜かないらしいから、クリーンエアで走って3番手の坪井に5秒差をつけよう」と太田に声をかけていた。

太田としても、牧野が自分の後ろでステイしてくれるのだと思い、チームと牧野に感謝を伝えていた。しかし24周目の130Rで牧野は太田をオーバーテイク。確かに、無理な追い抜きだったわけではないし、それは太田本人も理解している。しかし太田は牧野の後ろで乱気流を浴びることになった上、坪井とのギャップも思うように広げられず、「任祐ペース上げて! ダーティエアだって」と苛立ちを隠せずにいた。

「牧野は僕の後ろでステイしてくれるという話だったのですが、オーバーテイクされてしまい、それで色々と崩れてしまいました」と太田は言う。

「(牧野との)ペース差が意外となくて、坪井選手との差もなかなか広げられず、かなりフラストレーションが溜まる展開でした。決定権を誰が持つのかなど、チームともコミュニケーションについてしっかり決めていかないといけません」

「あそこで前に出られて、ある意味蓋をされるというか、空力が乱れる形になりました。5号車(牧野)の方も全力でプッシュして、邪魔しないようにしてくれていたと思いますが、その辺りはミスコミュニケーションがあったなと思います」

「SCが出たので、もしかするとそれらも関係なかったかもしれませんが、それでも僕がトップの方が失ったポジションが少なくなっていただろうとも思います。結果的にこうなってしまったのは非常に残念というか、悔しいです。まあ、はじめからタイムペナルティ受けるなという話なんですけど……(苦笑)。攻めた結果ですから」

レース途中では無線でかなりヒートアップしていたものの、セーフティカーが出てしばらく経った後はチームにその態度を謝罪するなど、落ち着きを取り戻していた太田。「残念ですが、面白いレースはできたんじゃないかと思います。チャンピオン争いにおいては痛いと言えば痛いですが、チームとしては力があるのは間違いないので。明日には多分切り替わっていると思うので、また次戦頑張りたいなと思います」とのこと。次週はIMSAでセブリングを走る太田。落ち込んではいられないのだ。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次