F1ラスベガスGPの開催はF1のアメリカ進出を象徴する出来事となり、2023年の初開催時は大成功を収めた。しかし2024年のレースは前年ほどの莫大な経済効果を生まなかったようだ。
2年目の関心低下は予想されていたことであり、それ自体は驚きではない。初開催時はF1カレンダーの中で最も期待されていた野心的なイベントのひとつであり、ラスベガスの中心街をF1マシンが駆け抜ける姿が見られると世界中のファンが期待を寄せた。
初日のFP1では、排水口の蓋の固定が緩んだことで、マシンにダメージを受けたカルロス・サインツJr.とフェラーリ、FP2を観戦できなかったファンは最高の1日目を味わうことはできなかったが、レースは期待を上回るものだった。
2年目も同様にエキサイティングなレースとなり、ルイス・ハミルトン(メルセデス)が予選10番手から2位フィニッシュまで追い上げる姿を見ることができた。
このレースではジョージ・ラッセルが勝利し、メルセデスがワンツーフィニッシュを果たしたが、このレースでマックス・フェルスタッペン(レッドブル)がタイトル4連覇を決めている。

『Applied Analysis』の調査によると、2024年レースの経済効果は9億3400万ドル(約1400億円)。2023年の15億ドル(約2200億円)から大きく減少した。では、なぜ下がったのだろうか?
初年度の経済効果は、F1が2億4000万ドル(約360億円)で購入したパドック・ピット用地を含む、サーキット周辺の建設によって押し上げられた。
しかし2024年は、レース観戦チケットを除いた1週間の消費額が1人平均2400ドル(約36万円)に達し、ネバダ州に4500万ドル(約67億円)の税金をもたらした。なお、チケットの売り上げは31万5000枚から30万6000枚へとわずかに減少した。うち17万5000人が市外からの来場者だった。
テレビの視聴者は5610万人にのぼり、推定60億ドル(約9000億円)の宣伝収入を生み出した。
ラスベガスGPのコーポレート事務担当上級副社長であるロリ・ネルソン=クラフトは、『The Athletic』の取材に対し、このイベントの成功を次のように説明している。
「2024年のレースがもたらす9億3400万ドルという経済効果は、ラスベガス最大の経常イベントとして機能している」
「ネバダ州南部におけるメガイベントといえば、このイベントが筆頭に挙げられる。毎年開催されるだけでなく、伝統的にラスベガスが1年で最も閑散とする週に開催される。ラスベガスが恩恵を受けることができる時期に、有意義な形でカレンダーに掲載されることは、本当に喜ばしいことだ」
リバティ・メディアのデレク・チャンCEOは、「社内の期待を裏切った」昨年のレースのあと、ラスベガスGPのパフォーマンスは上向くと見ているようだ。
「F1は2025年に利益をもたらし、財政的に成功し、ラスベガスの地域社会に継続的な成長と好影響をもたらすレースをサポートするための変更を、非常に迅速に実施した。このレースはラスベガスのコミュニティにとって継続的な成長と好影響をもたらすことになる」