現在FIA会長を務めるモハメド・ベン・スレイエムの任期は2025年限りで切れる予定だが、2026年以降に向けて再出馬を目指している。そしてAutosprintが最近報じたところによると、女性ドライバー限定シリーズであるF1アカデミーのマネージングディレクターを務めるスージー・ウルフが立候補を希望しているという。
しかしウルフに近い情報筋がPlanet F1に語ったところによると、FIA会長を目指すことに興味すらないという。
だが元F1開発リザーブでありメルセデスF1代表を夫に持つウルフがFIA会長選へ立候補するかもしれないという噂に、ソーシャルメディアでは話題が持ちきりに。ファンだけでなく、1996年のF1世界チャンピオンであるデイモン・ヒルも自身のInstagram Storyを通じて「彼女なら完璧だ」とウルフを支持する姿勢を示した。
また、昨今の諍いによるベン・スレイエム会長への風当たりも、ウルフへの支持を後押ししている。ベン・スレイエム会長は様々な議論を巻き起こしており、不適切な言動の取り締まり強化を行なったことでF1や世界ラリー選手権(WRC)のドライバーから強い反発を受けている。またここ最近では、FIAの新たな秘密保持契約(NDA)をめぐり世界モータースポーツ評議会からの追放者が生まれるなど新たな火種が生んだ。
しかし2014年のイギリスGPで22年ぶりにグランプリ週末にドライバーとして参加した女性となったウルフは、2023年に立ち上げられたF1アカデミーの陣頭指揮を取っており、手一杯だ。現時点では、ベン・スレイエム会長の主な対抗馬は現れていない。
F1アカデミー創設から2年目の2024年には、全てのF1チームと協力関係を結び、各チームからサポートを受けたドライバーがF1チームのカラーリングを施した車両を走らせ、F1のサポートレースにも組み込まれた。
「私は常に、今が私の1年目だと考えたいと思っています。熱意があるから私はそう言っていますが、このコンセプトが正しかったことを証明する必要があることも分かっています」
2024年シーズンの変更点についてウルフは以前そう語っていた。
「現時点までに我々が実現してきたことを私はとても誇りに思っていますが、まだ始まったばかりで、まだまだやれることは沢山あると思います。ただ、既にポジティブな影響を及ぼしているのが見て取れます」
「もちろん、F1チームとサポートドライバーの存在も、中長期的な成功の大きな基盤であることは間違いありません。私としては、F1(週末)でレースをすること、そしてF1チームを参加させることのふたつが必要でした。今、我々はROI(投資収益率)をもたらすだけでなく、インパクトのあるプラットフォームを持っていることを証明する必要があります」
そしてウルフはこう付け加えた。
「この役割を引き受けた時、私は『女性が女性のためモノを運営していると見なすな』と強く言いました。スポーツ全体が賛同するモノでなければいけませんし、F1チームがこのアイデアに飛びついてくれたことで信頼を得られました」
「F1の歴史上初めて、10チームものF1チームが一致団結して参加し、自分たちのレーシングカー以外のモノに彼らのロゴを掲出したというのは、私にとって非常に誇らしい瞬間です。F1アカデミー全体がこのことを誇りに思えると思います」