ヨーロッパのサッカー界には、多くの“黒店”と呼ばれるクラブが存在する。彼らは才能ある選手を育成し、高額な移籍金で売却することで莫大な利益を上げている。そんな“黒店”の中でも特に目立たず、着実に成功を収めているのが、**ドイツ・ブンデスリーガの雄「アイントラハト・フランクフルト」**だ。
今冬の移籍市場では、フランクフルトの攻撃の中心だったオマール・マルムシュをマンチェスター・シティに売却し、わずか1年で7500万ユーロもの利益を生み出した。このマルムシュは、2023年にヴォルフスブルクからフリーで獲得した選手であり、フランクフルトの優れたビジネスセンスを改めて証明する形となった。

フランクフルトの独自の成功モデルとは?
フランクフルトは、長年にわたってドイツの強豪クラブの一角を占めてきた。時にはチャンピオンズリーグ出場権を獲得することもあれば、欧州大会の舞台から遠ざかることもある。その成績の浮き沈みの主な要因は、毎シーズン主力選手を売却し、その資金で新たな才能を発掘するというクラブの運営方針にある。
そんなフランクフルトの成功の象徴とも言えるのが、2021-22シーズンのUEFAヨーロッパリーグ優勝。これは、選手を売却しながらも競争力を維持することができるクラブの強みを象徴する出来事だった。
フランクフルトが生み出したスター選手たち
近年、フランクフルトは数多くのスター選手を育成し、高額な移籍金で売却してきた。以下は、最近の主な移籍リストだ:
- ランダル・コロ・ムアニ(9500万ユーロ / パリ・サンジェルマン)
- オマール・マルムシュ(7500万ユーロ / マンチェスター・シティ)
- ルカ・ヨヴィッチ(6300万ユーロ / レアル・マドリード)
- ウィリアム・パチョ(4000万ユーロ / バイエル・レバークーゼン)
- イェスパー・リンドストロム(3000万ユーロ / ナポリ)
- アンドレ・シウバ(2300万ユーロ / RBライプツィヒ)
これらの移籍だけで、クラブは合計3億ユーロ以上の利益を生み出している。まさに“静かなる黒店”の名にふさわしいクラブ運営だ。
次なるターゲットは20歳のスウェーデンの天才MF、フーゴ・ラーション
そして現在、フランクフルトが新たに育て上げた逸材として注目を浴びているのが、スウェーデン代表の若き才能、フーゴ・ラーション(Hugo Larsson)だ。
ラーションはマルメFFのアカデミー出身で、2023年に900万ユーロの移籍金でフランクフルトへ加入。すると、加入1年目からすぐに主力として起用されるという異例のキャリアを歩んでいる。
ラーションの特徴は以下の通り:
✅ 187cmの長身ながら高い機動力を誇る
✅ 守備的MFとしてスタートしながら、攻撃の起点としても機能
✅ ボール奪取後の素早い攻守転換が持ち味
✅ 強靭なフィジカルと対人守備の強さを兼ね備える
✅ 大局観と試合のコントロール能力に優れ、「弱化版フレンキー・デ・ヨング」とも評される
現在、ラーションの市場価値は3500万ユーロと評価されているが、フランクフルトはすでに6000万ユーロの値札を設定。すでにレアル・マドリード、マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプール、チェルシーなどの欧州強豪クラブが関心を示している。

フランクフルトの未来は?ラーションは次のステップへ?
この冬の移籍市場でも、多くのクラブがラーションの獲得を狙っていたが、フランクフルトの強気の姿勢により交渉は成立せず。だが、シーズンが進むにつれ、彼の活躍はさらに注目され、今後はさらなるオファーが舞い込むことが予想される。
もしラーションが6000万ユーロで移籍すれば、フランクフルトは900万ユーロの投資で5100万ユーロの利益を得ることに。これまでと同様に、クラブの経営戦略は見事に機能し続けている。
「育成→主力化→高額売却」のフランクフルト流のビジネスモデルは、今後もヨーロッパの舞台で光り続けるだろう。