[GⅢダイヤモンドステークス=2025年2月22日(土曜)東京競馬場、芝3400メートル(4歳上)]
【新人記者・栗栖歩乃花のトレセン日記】
取材したことのある馬名を見ると、当時のエピソードを思い出すことがあります。土曜日のGⅢダイヤモンドS(東京芝3400メートル)に出走するマイネルケレリウス(牡5・奥村武)は昨年6月のGⅢエプソムCの前に取材しました。緊張している私に石川裕紀人騎手が「趣味は筋トレで焼き鳥が好き」と話してくれてその場を和ませてくれたことを覚えています。そんな優しい石川騎手とのコンビで長距離転向2戦目に向かいます。
エプソムCから3戦を経てダイヤモンドSへ。1800メートルから2000メートル→3600メートルと着々と距離を延ばしてきました。エプソムC取材時と比べると「(馬の状態については)変わりないですけど使っている距離が違うので折り合いが難しいです」と石川騎手。特に一気に距離を延ばしたステイヤーズSが大きな壁になったそう。「千八から二千は大丈夫だったのですが、二千から三六はすごく難しいですね」
ひとくくりに難しいといいますが、それはジョッキーもめげてしまいそうになるものだったそう。「前走はスタートから勝負どころまでずっとかかっていました。自分の心が折れるぐらいひっかかっていました。いや、もう心は折れてましたね」と笑い交じりで話してくれましたが、ガラッと表情は一変「三千を超えるレースは基本スローなので仕方ないですね。流れるのは10回に1回くらい。向き合っていかないといけない試練です」。コンビで乗り越えるべき課題だと受け止めていました。
だからこそ今回は人馬一体で稽古に励んでいます。「調教は最近乗るようになりましたが、その調教でも(折り合いが)キツイところはあります。ただ、毎回乗ることで折り合えるようになってきています」と付きっ切りの成果がはっきりと出始めているようです。
心強いコメントも飛び出しました。「適性はここ(三四~三六)にあると思っています」。どういうことかというと「切れる脚が使えない馬ではないのですが、質のいいワンペースの馬という感じ。自分のリズムをつくって競馬を運べる」からだそう。
どんなレースをイメージしているのか聞いてみると「この馬のリズムを崩さないようなレースにしたいです。周りの馬や展開ではなく勝負どころまで一定のリズムを保って直線を向ければ。折り合いさえつけばチャンスがある馬なので」。このコンビなら、周りに惑わされない競馬で大きな壁も乗り越えてくれるはず。初重賞制覇なるか、注目です。