シービリーブスカップ最終戦(26日、米国・サンディエゴ)国際サッカー連盟(FIFA)ランキング8位の日本女子代表「なでしこジャパン」は同1位の米国に2―1で勝ち、3戦全勝で初優勝。途中出場のDF古賀塔子(19)=フェイエノールト=が後半5分に決勝点を決めた。米国撃破は2012年のアルガルベ杯(ポルトガル)以来13年ぶり2度目の快挙。初の外国人指揮官として就任したニルス・ニールセン監督(53)が初陣を飾った。FW田中美南(30)=ロイヤルズ=が大会最優秀選手(MVP)に選ばれた。
歴史の扉を再び動かした。13年ぶりに最強のライバル・米国を撃破し、なでしこたちが笑顔の花を咲かせてピッチのあちこちで抱き合った。
「自信と勇気を持って戦った選手を誇りに思う。勇敢に戦い、チームがまとまった」
デンマーク出身のニールセン監督がたたえた。前半2分にMF長谷川のパスを受けたMF籾木が先制。前半14分に追いつかれたが、後半5分だ。長谷川のFKのこぼれ球に、DF古賀が素早く詰めて左足で押し込んだ。
昨季パリ五輪にも出場した19歳は「FKになった瞬間からこぼれ球を狙っていた」としてやったりだ。JFAアカデミー福島出身で、18歳でいきなりオランダに渡った逸材は「米国に勝って優勝できて素直にうれしい」と破顔一笑。その後は米国の猛攻に耐え抜き、大会初優勝を果たした。
米国との対戦は41度目で、白星は2012年の国際親善大会の1度のみだった。昨夏のパリ五輪でも準々決勝で激突したが、延長の末0―1で敗れていた。
昨年12月就任のニールセン新監督が選手を変えた。「Be Brave(勇敢であれ)」。新生なでしこの合い言葉として、ミーティングなどで何度も説いた。ミスを恐れずにチャレンジしていこうと意識改革。昨年までは守備的なスタイルだったチームを、攻守で主導権を握る戦術に変え、絶対王者の米国に真っ向勝負で立ち向かった。
長谷川は「この戦い方で勝てたのは自信になるし、今後につながる」と充実の表情を浮かべた。W杯初優勝から14年がたち、大きな1勝を手に。再びの世界一へ―。新時代の幕が開けた。

■11年W杯PK戦勝利は引き分け扱い
日本は41度目の対戦となった米国戦に勝ち、通算成績を2勝8分け31敗とした。初対戦は1986年7月25日のイタリア国際女子大会で、1―3で敗戦。初白星は2012年3月5日の国際親善大会・アルガルベ杯(ポルトガル)で、FW高瀬愛実が後半にゴールを決め1―0で勝利した。初優勝した11年女子W杯ドイツ大会の決勝は2―2からPK戦を3―1で制したが、記録上は引き分けとなっている。
■シービリーブス杯 2016年にスタートした女子の国際親善大会。毎年2月ごろに強豪4カ国が参加して米国で開催される。「SheBelieves(シービリーブス)」は若い女性がスポーツだけでなく夢を追いかけることを奨励する、米国女子代表にインスパイアされた運動のこと。今大会は10度目の開催で、優勝は米国の7度が最多。日本は19年に初参加し、23年からは3年連続で出場。