F1の2025年シーズン開幕に向けてバーレーン・インターナショナル・サーキットで行なわれているプレシーズンテスト。2日目となる2月27日(木)の午前セッションでは、フェラーリのルイス・ハミルトンが最速タイムを記録した。
サーキットのあるバーレーン・サクヒールは、初日に引き続き天候が優れず、気温13度、路面温度14度。チームとしては初日にマシンの初期チェックやトラブルシューティングを終え、2日目からいよいよ本格的に走り込みといきたいところだったが、4時間のセッションが始まると同時に、ポツポツと雨粒が路面を濡らし始めた。
テストに向けて雨用のタイヤを持ち込んでいるチームはわずか2チーム。雨脚が強まっていく前に走行データを集めようと、午前セッションを担当するドライバーがコースへ入った。空気の流れを見るエアロレイク(エアロリグ)をマシンに装着するチームも少なくなかった。
角田はユーズドのミディアムタイヤで5周した後、ガレージで1度マシンを降りることに……メカニックは右リヤの足回りを確認し、それを隠すように他のスタッフがマシンを取り囲んでいたことから、どうやら想定外の出来事が起きたようだった。
他9チームはピットイン、ピットアウトを繰り返して走り込んでいたが、1時間半が経過した頃から雨脚が強まった。40分ほどガレージに留まっていた角田も走行を再開したが、雨の影響で挙動を乱すこともあり走り込みはできず、コース上を誰も走っていない静かな時間が続いた。
途中、ハースのエステバン・オコンがインターミディエイトタイヤを投入し、ピットインとスタート練習を3周にわたり繰り返したが、他のドライバーは残り2時間を切るまで走行を行なわなかった。
雨は路面を完全に濡らす前に落ち着き、まず走り出したメルセデスのジョージ・ラッセルは、フロントウイングからサスペンション、サイドポンツーン開口部にかけての空気の流れを見るべくフロービスを塗布し走行。ザウバーのニコ・ヒュルケンベルグや角田もコースに戻り、他のドライバーも続々とコースに姿を現した。
多くのドライバーはユーズドタイヤでロングランプログラムを実施。一方で、角田はユーズドのC3タイヤでアタックラップとクールダウンラップを繰り返し、自己ベストタイムを更新していった。
走行を再開してから30〜40分程度が経過した後、各車が新品タイヤを投入し始めた。7度のF1世界チャンピオンがフェラーリへ移籍するとあって、その一挙手一投足が注目を集めるハミルトンはここで積極的にC3タイヤで走り込んだ。残り1時間を切ったところで行なった新しいタイヤでの最初のアタックこそ走行ラインを外して中断したものの、2回目のアタックでは1分29秒379でそれまで自身が記録していた全体ベストタイムを更新した。
一方でマクラーレンのオスカー・ピアストリは、ハミルトン同様に新品タイヤでアタックラップを開始したものの、ターン8でアウトラップのヒュルケンベルグと呼吸が合わず軽く接触……これがF1創立75周年となった2025年シーズンで記念すべき初めての接触事故となった。なお2台はチェックのため一度ピットインを余儀なくされたが、幸いすぐにコースへ戻ることができた。
セッション終盤もウイリアムズやフェラーリは、フロービズを吹き付けたマシンで走行を行なうなどデータ収集に勤しんだ。そんな中レッドブルのリアム・ローソンのガレージは衝立で中の様子を伺うことができないよう隠されていた。現地の情報によると、レッドブルはエンジンの水圧低下により走行ができなかったようだ。
2日目の午前セッション終盤には、バーチャル・セーフティカー(VSC)、セーフティカー、レッドフラッグを掲示するシステム上のチェックが行なわれ、その後セッション終了となった。
最終的にトップタイムはハミルトン。昨年までのチームメイトであるラッセルが0.399秒差で2番手、こちらも移籍組となるウイリアムズのカルロス・サインツJr.がハミルトンから0.711秒差で3番手となった。
角田はトップ3から、アルピーヌのピエール・ガスリーとアストンマーティンのフェルナンド・アロンソを挟んで6番手。タイムは1分30秒793だった。
ただ、各車の走行プランやタイムを出したタイミング、燃料搭載量が異なるため、タイムはあくまでも参考に過ぎない。一方でどれだけ走り込むことができたかは、マシンの信頼性という面でひとつの指標になる。このセッションの周回数はラッセルが71周で最も走り込み、10番手に終わったハースのエステバン・オコンがそれに次ぐ69周となった。
途中マシンを降りていた角田は46周だが、終盤マシントラブルに見舞われたローソンはたった28周と不安も残る2日目午前セッションとなった。