2018年3月19日 

平昌パラ2018

次世代へ繋ぐ、平昌パラリンピック

メダルを5個獲得した村岡桃佳(中央)

3月18日、10日間の熱気に包まれた平昌パラリンピックが閉幕した。

日本が獲得したメダル数は金3、銀4、銅3の計10個。4年前ソチ大会の獲得数6個を大きく上回る活躍を見せた。10個のうち6個はアルペンスキー、さらにそのうちの5個は女子座位の村岡桃佳(21=早稲田大学)によるもの。村岡は大回転で金、滑降と回転で銀、スーパー大回転とスーパー複合で銅。冬季パラリンピックにおいて、単独でのメダル5個獲得は日本史上初の快挙である。

バンクドスラロームで金、スノーボードクロスで銅を獲得した成田緑夢

村岡に象徴されるように、今大会顕著だったのが若手の躍進だ。

日本勢として初めて出場を果たしたスノーボードでは、成田緑夢(24=近畿医療専門学校)がバンクドスラロームで金、スノーボードクロスで銅メダルを獲得している。優勝したバンクドスラロームは3本滑走しベストタイムで勝敗が決まる種目で、成田は1本目より2本目、そして3本目とベストタイムを大きく更新し他を寄せ付けず圧勝した。出場した種目全てでのメダル獲得は、村岡と同様に価値が高い。

回転で8位入賞を果たした本堂杏実

メダリストばかりではない。アルペンスキー女子立位の本堂杏実(21=日本体育大学)は、女子ラグビーからパラアルペンスキーに転向してわずか2年でパラリンピック出場を果たし、最終日に行われた回転で8位入賞した。
4年前、村岡が正智深谷高2年で初めてパラリンピックに出場したように、今大会には3人の高校生選手がいる。アルペンスキー男子立位の高橋幸平(17=岩手県立盛岡農業高校)、クロスカントリースキー男子立位の川除大輝(17=富山県立雄山高校)、同じく星澤克(18=北海道立命館慶祥高校)。川除は、最終日に行われたミックスリレーに、金メダルを獲得した新田佳浩ら先輩選手とともに出場し4位となる健闘を見せた。高橋は、大回転、回転ともに途中棄権することなくそれぞれ21位、17位。星澤も出場した4種目で結果を残した。伸び盛りの高校時代に、パラリンピックを経験することの意義は大きい。村岡がそうであったように、世界最高峰の舞台で戦ったことで目指すべき目標が明確になり、進化の礎となるからだ。

男子座位の大回転で金、スーパー複合で銅を獲得したジェスパー・ペデルセン

世界の若手選手の急成長も著しい。アルペンスキーでは、男子座位の大回転で金、スーパー複合で銅メダルを獲得したジェスパー・ペデルセン(ノルウェー)は18歳。また、スーパー複合で金メダルを獲得したユーロン・カンプシャーも18歳。クロスカントリースキーでも、10kmクラシカルで金メダルを獲得した女子立位のナタリー・ウィルキー17歳など、10代ですでに世界の頂点に上り詰めた選手が続出している。

オランダでは若手育成プログラムが確立されており、オリンピック・パラリンピックの強化選手がナショナルトレーニングセンターで生活を共にしながらトレーニングできるプログラムがある。学生はセンターに併設されている学校に通い日常的にトレーニングする。カンプシャーは、育成プログラムの一環で4年前ソチパラリンピックを観戦。そこから急成長を遂げて、初めてのパラリンピックでメダル獲得を果たしたのだ。

世界は、すでにパラリンピックの選手育成・強化をオリンピックと同様に実施し、平昌パラリンピックで大きな成果を上げている。

10kmクラシカルで金、スプリントクラシカルで銀を獲得した新田佳浩

一方、日本では今大会、ベテラン選手の復活劇が見られたことが、もう一つの特徴と言えるだろう。

クロスカントリースキー男子立位の新田佳浩(37=日立ソリューションズ)は、10kmクラシカルで金、スプリントクラシカルで銀メダルを獲得。新田は1998年長野パラリンピックから6大会連続出場している。バンクーバー大会同種目で2個の金メダルに輝いたが、4年後のソチ大会ではメダル獲得ならず。4年間の強化を実らせて再び頂点に立った。

日本の全得点を決めた高橋和廣

日本のパラアイスホッケーチームはバンクーバー大会で銀メダルに輝いた。4年後ソチ大会出場を逃し、8年ぶりに平昌パラリンピック出場を果たした。チームの主軸は、長野、ソルトレイクシティー大会などから出場しているベテランが中心だ。日本は8位で今大会を終了した。予選リーグから順位決定戦まで日本が挙げた3得点の全ては、フォワード高橋和廣(39=東京アイスバーンズ)が叩き込み、パラリンピック初出場選手たちにその気迫を見せつけたのだった。

2020東京を見据え、日本選手の活躍は日本で大きく報道された。若い選手の弾ける笑顔を見た子どもたちが、新しいスポーツをやってみようと心を動かされる。平昌パラリンピックが、後にそう語られることを期待したい。

(文・宮崎恵理、写真・竹内圭/岡川武和)
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